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マテリアル インテグレーション 2004年12月号

マテリアル インテグレーション 2004年12月号

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マテリアル インテグレーション 2004年12月号
特集 燃料電池の新しい展開

燃料電池の動作原理,性能および特徴,開発動向
■著者
燃料電池開発情報センター 常任理事 本間 琢也

■要約
90年代以降,燃料電池は小規模,小容量電源としてより適しているとの認識がますます強くなり,燃料電池は発電事業用としての大規模電源としてよりも,むしろ小中規模の電源としての実用化に人々の関心が寄せられるようになってきた.特に95年頃に固体高分子形燃料電池 (PEFC) の高性能化,コンパクト化が著しく向上した結果,自動車用動力源としての利用可能性が現実性を帯びて議論されるようになってきた.ダイムラークライスラー,トヨタ自動車など世界の主要なカーメーカが,PEFCをエンジンとして組み込んだ燃料電池自動車 (FCV) を試作・公表したのはこの頃である.PEFCの市場は,自動車だけではない.数kWレベルの家庭用コージェネレーション電源を始め,コンピューターや携帯電話等,電子機器用マイクロ電源も今後大きく成長する市場として期待されている.特に端末用超小型燃料電池は,定置式コージェネレーション用や自動車用におけるように,環境やエネルギー問題への対応が目的ではなく,情報機器の利便性を向上させることが主要な目標となっている.したがって,燃料電池の市場での競争相手は,高価なリチウムイオン電池等の高出力密度の蓄電池であり,市場での競争は他分野の燃料電池に比べて,少なくともコストや耐久性においては容易であると考えられている.


マイクロ燃料電池の開発現状と市場展望
■著者
(株)野村総合研究所 技術・産業コンサルティング部 主任コンサルタント 風間 智英

■要約
携帯機器の高機能化・機能統合などに伴い,電源の容量増加ニーズは益々高まってきている.携帯機器の電源として最もポピュラーなのは二次電池であるが,高容量化が可能なリチウムイオン二次電池(LIB)が他の二次電池を代替し,市場の大半を占めるに至った.そのLIBも年率10%程度の容量増加を達成してきており,電源の容量増加ニーズはまだまだ強いことが伺える.しかし,LIBの高容量化は限界に近づいていると言われており,またエネルギー容量の増加に伴う安全性の確保も課題となってきているようだ.LIBの高容量化に向けた開発は正極の改良など新たな局面に移ってきているが,ポストLIBの電源としてマイクロ燃料電池の活用も期待されている.本稿では,特に直接メタノール型燃料電池の技術開発状況を把握した上で,その対象アプリケーションを想定し,市場規模を推計してみたい.


りん酸形燃料電池の開発の現状(1)
■著者
東芝燃料電池システム(株) 営業企画部プラント担当部長 奥村 実

■要約
りん酸形燃料電池は,各種燃料電池の中で商品化の目標寿命である4万時間を達成し,平均稼働率が98%のレベルに達している唯一の商品機である.当初,電気と熱の供給ができるコージェネレーションシステムとして導入が進んだが,近年,りん酸形燃料電池の特徴を活かした高品質・高信頼性電源システムやバイオガスや消化ガスなど未利用エネルギーを利用するシステムとしての導入が進んでいる.さらに,マイクログリッドを構成する発電設備としても注目されている.ここでは,りん酸形燃料電池の特徴とそれを活かした種々の導入事例を紹介する.


りん酸形燃料電池の開発の現状(2)
■著者
東芝燃料電池システム(株) プラント技術部 高橋 元洋

■要約
東芝インターナショナルフュエルセルズの販売する200kW燃料電池システム(PC25C)は,りん酸形燃料電池による民生用電源として,最も早く商用化を達成した機種である.クリーンな排ガス,低騒音,排熱の有効利用により環境適合性コージェネレーションシステムと位置づけられ各分野で導入されている.PC25Cは,電池本体および反応器の目標寿命である4万時間と高信頼性(数千時間のMTBF)を多くの装置で達成し,耐久性は既に実証されている.ここでは,PC25Cの特徴と運転実績を述べるとともに,最近の新たな適用事例としてジメチルエーテル燃料機について紹介する.また,2005年の愛知万博で実証展示される新エネルギーシステムに組み込まれる予定のPC25Cについても簡単に紹介する.


溶融炭酸塩形燃料電池の開発状況と今後の動向
■著者
溶融炭酸塩型燃料電池発電システム技術研究組合 理事 技術部長(MCFCプロジェクトリーダ) 安江 弘雄

■要約
溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)は,発電効率が高い,環境負荷が低い,バイオマスガス・石炭ガスなど多様な燃料が使用可能である,発電システム規模が小型分散電源から大容量火力代替まで自由に構成できる,炭酸ガスの濃縮分離が可能,などの特徴を有するため,早期の開発導入が期待されている.わが国のMCFCの研究開発は昭和56年に基礎研究として着手した国家プロジェクト「ムーンライト計画」第1期以降,2期前・後期及び現行第3期開発プロジェクトを通じて,ほぼ20年間にわたる実用化を前提とした開発推進により着実に成果をあげて来た.ここでは過去の開発の経緯と現行プロジェクトの課題及び成果を,電池スタック開発の重要課題である大容量化・長寿命化・高性能化を中心に報告するものである.


小型2輪車のための燃料電池システム
■著者
ヤマハ発動機(株) 研究創発センター 安達 修平

■要約
原付クラスのパーソナルビークルに搭載する燃料電池システムの目指す姿は,従来のガソリンエンジン車がもつ,走り,航続距離,燃料補給の容易さといった総合的な高い利便性と,電動車両がもつ,すぐれた環境性の両立である.そのためには,システムは,要求される出力性能に対し,可能な限り軽量でコンパクトであることはもちろん,従来のいかなる機器よりも高効率で,有害なエミッションが少なくなければならない.さらに,早期の実用化をめざす以上は,燃料の入手性がよいこと,リーズナブルな価格であることが必須条件であることは言うまでもない.


携帯用小型燃料電池の開発状況
■著者
(株)東芝 研究開発センター 研究主幹 五戸 康広

■要約
ノートパソコンや携帯電話などの携帯端末を用いて,いつでも,どこでも自由にネットワークにアクセスできるユビキタス社会の到来が予想されている.これを現実のものにするためには携帯端末を駆動する電池性能の向上,とりわけ電池切れの心配のない新しい電源の出現が求められている.現在一般的に使われているリチウムイオン電池などの二次電池も着実に性能が向上しているが,さらに大きな可能性を秘めた新しい電源として,燃料電池に期待が集まっている.燃料電池は,燃料を供給して発電するという発電機の一種で,燃料供給さえすれば連続的に発電することができる.ここでは,携帯機器用の小型燃料電池について,東芝での取り組みを中心に紹介する.


固体高分子形燃料電池の電極触媒
■著者
田中貴金属工業(株) 化学系開発技術部 プロジェクトリーダー 多田 智之

■要約
白金や白金ルテニウムの数ナノメートルの貴金属微粒子を表面積の大きな導電性カーボンブラックに高分散担持させたものが,固体高分子形燃料電池用の電極触媒として,幅広く使用されている.カーボンブラックを担体材料に用いている主な理由としては,(1)貴金属粉末を用いた場合に比べて,触媒の単位重量当たりの表面積を増加出来るため.(2)貴金属粉末を用いた場合に比べて,燃料電池反応時の触媒粒子の凝集を抑制出来るため.(3)他の担体材料を用いた場合に比べて,燃料電池反応として好ましい触媒担持量(30wt\%以上)とした時でも,均一に分散した微粒子触媒が調整出来るため.(4)導電性が高く,また化学的.熱的に比較的安定なため.等がある.また,限りある資源である貴金属を触媒として利用しているのは,固体高分子形燃料電池のような低温作動の燃料電池では貴金属以外に燃料電池に必要な触媒作用を十分に発揮できる材料が他にないからである.貴金属触媒の代替等,新規な触媒探索となると広範囲な知識と斬新なアイデア,情熱的な技術魂が必要と感じるが,電極触媒開発を貴金属微粒子とカーボンの組み合わせだけに限定すると,その開発行為は決して多くないと言えるのかもしれない.しかしながら,実際にはその組み合わせだけを考慮してみても,カーボンの種類は通常使われるカーボンブラックをはじめ,無限に存在するし,触媒粒子の大きさ制御や,触媒表面状態の制御等,課題は多々ある.更には,触媒で燃料電池反応を機能させるためには,イオン交換樹脂等と混合して,触媒層と呼ばれる薄膜を形成する必要があるが,この薄膜形成技術が触媒特性評価に大きな影響を与えるため,触媒開発をより複雑なものとしている.本稿では,それら泥臭い電極触媒開発の一端から,いくつかの最近の研究例を紹介するとともに,現状抱えている課題をまとめた.


燃料電池用電解質膜の展望
■著者
旭硝子(株) 中央研究所 吉武 優

■要約
PEFC(固体高分子形燃料電池)は1980年代の後半にバラード社が短側鎖型パーフルオロスルホン酸膜を用いた高出力密度型のスタックを開発することにより自動車用電源としての可能性を示して以来,家庭用コージェネレーション,携帯用電源としても期待され開発が活発化してきた.パーフルオロスルホン酸膜は化学的に安定で含水時にはプロトン伝導性が極めて高い固体高分子膜であるが,その非架橋構造に由来する高温含水時の易クリープ性に対する対策,部分フッ素化膜や耐熱性高分子をベースとする低コスト化を狙ったもの,PTFEを用いた補強薄膜化技術,側鎖構造の異なるもの,無・低加湿型への指向,DMFC開発に伴い,メタノール透過量の低減が検討されてきた.多孔質薄膜をベースにした膜がDMFC用や低加湿膜などとして研究が進展している.また,アニオン膜に対しては,イオン,水の流れが逆になるため,膜の保湿対策,DMFCへの適用や電極用電解質としてPEFCの電圧損失の大きな部分を占める酸素過電圧低減に対する期待も潜在的に存在する.特許庁の燃料電池に関する出願技術動向調査によると電解質膜の特許出願件数は1998年まではほぼ一定の出願件数であったものの1999年から増加傾向に転じており,PEFCを構成する最も重要なキーマテリアルの一つとして開発が加速化している事が窺える.本稿では現在スタックシステム開発の中心的存在であるパーフルオロスルホン酸膜の開発動向,自動車用スタックにも搭載が始まった炭化水素系膜やDMFC用膜,ハイブリッド膜などの開発動向について概略を述べ,今後を展望する.


家庭用燃料電池の普及基盤整備
■著者
(社)日本電機工業会 新エネルギー部 岡 嘉弘

■要約
定置用固体高分子形燃料電池(PEFC)は発電と温水を利用するコージェネレーション機器として,温室効果ガス低減効果も期待でき,より高効率で環境にやさしい次世代の身近なエネルギーとして注目されている.PEFCは1kW前後の家庭用を中心に2005年に市場投入すべく信頼性向上やコストダウンなどの実用化のための技術開発が進められている.一方,これら定置用PEFCには法規制などの様々な課題が存在し,技術開発に並行し普及促進のための市場環境整備も急務となっている.(社)日本電機工業会では内部委員会である燃料電池発電システム技術専門委員会を中心に関連団体と連携をとりながら市場環境整備に取り組んできている.本稿では定置用燃料電池(特に家庭用PEFC)についての市場環境整備の動向,特に規制適正化,国内外の標準化活動の推進状況について報告する.


連載
近代日本のセラミックス産業と科学・技術の発展に尽力した偉人,怪人,異能,努力の人々(13)走っている自転車,多弁,筆まめ,時刻通りの授業をする永井彰一郎 東京大学教授,横浜国立大学教授,日本大学教授,千葉工業大学教授
■著者
宗宮 重行
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