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マテリアル インテグレーション 2003年9月号

マテリアル インテグレーション 2003年9月号

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マテリアル インテグレーション 2003年9月号
特集 スピントロニクス-(1)スピン伝導

フルホイスラー合金を用いたスピントンネル接合
■著者
東北大学大学院工学研究科 教授 猪俣 浩一郎 他

■要約
今回,我々はL21 構造を有するフルホイスラー(full-Heusler) 合金の一つであり,かつ理論的にハーフメタルとして知られているCo2CrAlに着目し,そのキュリ-点を増大させるためCr の一部をFe で置換したCo2(Cr1-xFex)Al ホイスラー合金薄膜を作製するとともに,その薄膜を用いて強磁性トンネル接合を作製した結果,室温で16%,低温で26.5%のTMR を得た.


磁性元素を含む・-V族半導体ヘテロ接合:磁気輸送特性と強磁性制御
■著者
東京大学大学院工学系研究科 電子工学専攻,JSTさきがけ研究21 田中 雅明 他

■要約
近年の半導体結晶成長技術の進歩によりさまざまなヘテロ構造やナノ構造が作製され,選択ドーピング(変調ドーピング)を利用した高電子移動度トランジスタ(HEMT) や量子井戸半導体レーザに応用されている.このような半導体ヘテロ構造を用いたバンドエンジニアリングは,半導体エレクトロニクスの発展に貢献してきたが,これまでのところその適用範囲は,非磁性の(磁性やスピンの性質が顕わに現れない)半導体に限られていた.本研究では,半導体バンドエンジニアリングの概念を,磁性をもつヘテロ構造材料の設計に拡張することを試みた.具体的には,分子線エピタキシー(MBE)を用いてIII-V 族半導体をベースとした磁性ヘテロ接合を形成し,その強磁性転移温度の高温化と磁性制御を行い,スピントロニクスの発展に寄与することを目的とした研究を行った.


室温で強磁性を示す半導体新材料(Zn,Cr)Te
■著者
(独)産業技術総合研究所 エレクトロニクス研究部門 安藤 功兒 他

■要約
最近,再び強磁性半導体に大きな注目が集まるようになったのは,宗片(東工大)や大野(東北大)らにより,InAs やGaAs などの実用的な半導体デバイスに使われているIII-V 族半導体をベースとしてその一部をMn イオンで置換した(In,Mn)As および(Ga,Mn)As において強磁性が発現することが見いだされたことによる.ただし,この(In,Mn)As や(Ga,Mn)As には,依然として-100 ℃以下の極低温でしか強磁性が観測されないという問題があった.そのため,ここ数年,室温で強磁性を示す半導体材料の開発を目指した開発競争が世界的な規模で活発化している.その結果,現在までに十指に余る多様な“ 室温強磁性半導体”の合成例が報告されている.しかしながら,これらの“ 新材料”では,いずれの場合も,強磁性的な磁気特性は見られるものの,肝心の電子・光機能と磁気的機能との間の明確な相互作用が観測されていない.そのため,観測された強磁性が試料に含まれる何らかの不純物から発生している可能性も否定できない.
磁化の測定手段は非常に高い検出感度を有するため,X 線回折などの手法では検出できない微量な不純物による磁性を検出してしまっている可能性があることが指摘され,論文誌上などで議論が行われている.このように,室温強磁性半導体の開発は大きな混乱状態にあるのが現状である.ここに紹介する(Zn,Cr)Te は,その光学特性と磁気特性との間の明確な相互作用が見られる,初めての室温強磁性半導体である.


スピン依存単電子トンネル現象
■著者
東北大学金属材料研究所 助手 科技団戦略 薬師寺 啓 他

■要約
強磁性トンネル接合のサイズをナノスケールにまで小さくしたときの磁気伝導現象はどのようなものであろうか.これが本稿で述べる我々の研究テーマである.非磁性金属や半導体を用いた微小トンネル接合では,単電子トンネリングと呼ばれる,マクロスコピックなサイズでは現れないような特徴的な伝導現象が現れることが知られている.ナノスケールの強磁性トンネル接合における磁気伝導現象は,その試料作製の難しさから殆ど明らかにされてこなかったが,理論的には,SET の特徴的な伝導とスピン依存トンネリングとの重畳,すなわち“ スピン依存SET ”により特異な磁気伝導現象が現れることが期待されている.我々は,スパッタ法により比較的簡単に成膜できる金属-非金属グラニュラー薄膜(グラニュラー薄膜)が直径数nm の磁性粒子と絶縁体マトリクスから構成されることに着目し,微小電極構造と組み合わせた試料を作製することによってスピン依存SET の磁気伝導現象を調べることに成功した.本稿では,これまでに明らかとなったスピン依存SET によるいくつかの特異なTMRの振る舞いについて紹介する.


スピンダイナミックス
■著者
東北大学工学研究科 応用物理学専攻 教授 宮崎 照宣 他

■要約
本解説では先ずLandau-Lifshitz-Gilbert (LLG)方程式とGilbert damping およびスピンポンピングについて述べる.また,スピンの才差運動および反転についての我々の実験結果を記述し,最後にスピン注入によるspin switching への展望を述べる.


スピン注入
■著者
東北大学金属材料研究所 教授 前川 禎通 他

■要約
十分に薄い絶縁膜を強磁性金属で挟んだ強磁性トンネル接合において,大きな磁気抵抗効果(TMR) が観測される.TMR は,電子の持つ電荷とスピンの自由度がトンネル障壁をどのようにトンネルするかという,量子力学の基礎的問題を提起している.同時に,磁気メモリ などのスピンエレクトロニクスへの応用でも注目され,TMR の研究は急速な進歩を見せている.強磁性体と非磁性金属や半導体との接合では,強磁性金属から非磁性金属へスピンが注入され,そのスピン偏極がスピン拡散長の距離にわたって保たれることから,非磁性体中の非平衡スピン分極(スピン蓄積)やスピン電流が生じる.最近の微細加工技術の進歩によりスピン拡散長程度の大きさのデバイスが作られ,強磁性体から様々な金属や半導体へのスピン注入が可能になってきた.本稿では,強磁性体から金属,半導体,及び超伝導体へのスピン注入効果について議論する.


連載
近代日本のセラミックス産業と科学・技術の発展に尽力した偉人,怪人,異能,努力の人々(6)岸敬二郎,大倉和親,百木三郎,江副孫右衛門,加藤薫,中村孝,兵藤兵吉,森村義行,吉本熊夫,鈴木巳代三,野淵三治,などの方々の苦難と成功の道(5)-日本陶器,日本ガイシ,日本特殊陶業など各社の発展史の一断面-
■著者
宗宮 重行


連載
第2次世界大戦後の日本のセラミックス科学の発達に,有好や親善に尽力した世界の大学教授(1)Father of CeramicsといわれたPask教授
■著者
宗宮 重行
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