商品コード:
マテリアル インテグレーション 2002年12月号

マテリアル インテグレーション 2002年12月号

通常価格(税込):
3,300
販売価格(税込):
3,300
ポイント: 0 Pt
関連カテゴリ:
月刊 マテリアル インテグレーション > 2002
マテリアル インテグレーション 2002年12月号
特集 高周波材料・高周波デバイス

マイクロ波帯・ミリ波帯で使用される誘電体セラミックス
■著者
(株)村田製作所 立川 勉 他

■要約
近年,携帯電話に代表される移動体通信が急速に普及し,移動体通信機器の小型化・高機能化は驚くべき進展を遂げている.こうした機器に使用される電子部品にも小型化,軽量化,高性能化が厳しく求めれ,マイクロ波誘電体を利用した誘電体共振器とそれを応用したフィルタも,その特長を生かしながら発展を遂げてきた.ここでは,誘電体共振器材料のマイクロ波特性とそれを応用した携帯電話用アンテナ共用器,基地局アンテナフィルタ,ミリ波通信用フィルタ,高温酸化物超伝導体のマイクロ波フィルタへの応用などについて紹介する.


ミリ波ポスト壁導波路給電スロットアレーアンテナの効率への誘電体基板材料の影響
■著者
東京工業大学大学院 電気電子工学専攻 助教 広川 二郎

■要約
平行平板スロットアレーアンテナは,60GHz 帯の無線LAN や76GHz 帯の自動車レーダなどのミリ波応用の高利得高効率平面アンテナとして有望である.平行平板導波路は放射損の無い閉空間線路の一種であるので,マイクロストリップラインなどの開放系の線路に比べてその高さを高次モードが立たない範囲で大きく取れ導体損失を小さくできる.著者は,導波路構造を簡易に構成する方法として,両側に銅箔が張られた誘電体基板に表面がメッキされたスールホールを密に配列したポスト壁導波路構造を検討している1).また,放射部のスロットアレーは上部銅箔をエッチングして構成する.これらを組み合わせたポスト壁導波路給電誘電体基板スロットアレーアンテナは従来のプリント基板加工技術を用いて安価に構成できると考えられる.いわば,マイクロ波帯ストリップライン用誘電体基板を用いて,ミリ波帯低損失導波路を実現している.ここでは,まずポスト壁導波路の伝送損失を電磁界解析により切り分けし誘電体による損失が支配的であることを示す.次に,材料が持つ伝送損失がアンテナ効率の上限を決めてしまうことを,大きさが異なるアンテナの測定結果から確認する.最後に,効率向上,高精度加工,RF 回路との集積化のために誘電体基板材料として検討しなくてはならない点をあげる.


ミリ波帯における低損失誘電体材料の評価法
■著者
埼玉大学 工学部 電気電子システム工学科 教授 小林 禧夫

■要約
現在,国際標準創成事業「通信器用ファインセラミックスの試験評価方法」の標準化技術委員会において,ミリ波帯における低損失誘電体の標準測定方法として,ファブリペロー共振器法,NRD ガイド励振誘電体円柱共振器法,遮断円筒導波管法が検討されている.ファブリペロー共振器法は,100GHz〜300GHz 帯で有効な測定法であるが,測定装置間の測定値のばらつきに関する検討が不十分である.NRD ガイド励振誘電体円柱共振器法は,30GHz〜100GHz 帯で有効な測定法である.誘電体円柱共振器法は,ミリ波帯で円柱共振器の寸法が小さくなるため,同軸線路による励振が困難となる.それを解決するためにNRD ガイドを用いている.遮断円筒導波管法は,30GHz〜100GHz 帯で有効な測定法であり,温度依存性測定を行うのに十分な高精度・高能率を実現している.さらに最近,ウィスパリングギャラリーモード共振器法による方法が報告されている.本報告では,遮断円筒導波管法の測定原理および温度依存性自動測定システムについて述べる.さらに,比誘電率εr =2〜24 程度の種々の誘電体平板料の測定結果およびGaAs 平板の温度依存性の測定結果について述べる.


高周波実装用低誘電損失樹脂材料
■著者
(株)日立製作所 日立研究所 天羽 悟 他

■要約
著者らは,有機系の高周波絶縁材料の開発を進める上で,特に誘電損失と直接比例関係にあるtanδ の低減に着目し,多官能スチレン化合物の絶縁材料への適用の可能性を検討してきた.本稿では多官能スチレン化合物の誘電特性,熱特性,機械特性について評価した結果について紹介する.


FBAR技術とFBAR製品の携帯電話への応用例
■著者
アジレント・テクノロジー(株) 半導体部品開発センタ 新保 利幸

■要約
部品にとって小型化を推し進める上で重要なことには,集積化がある.周辺同士を集積することによって,より小型化が進む.ヨーロッパのGSM や北米のCDMA などは2 つないし3 つの周波数をカバーするデュアル・バンド機,トリプル・バンド機が主流で,特に,集積化が電話端末を小型化にする重要な要素となる.この点で,GSM はIC やモジュールという形で既に高集積されており,さらに小型化が進んでいる.一方,北米を中心としたCDMA は,IC こそ集積度が高いものの,フロント・エンド部は小型化の遅れている部分である.その理由の一つは,US PCS 帯(1.9GHz) のデュプレクサが誘電体で作られており,サイズ,高さともに小型化の妨げとなっていたことが挙げられる.アジレント・テクノロジーでは,小型化,薄型化に対応できる,FBAR 技術を用いたデュプレクサ,フィルタ製品を開発,販売している.ここでは,FBAR 技術について触れ,また,その応用製品である,US PCS帯デュプレクサ製品,送信フィルタ製品について特性などを説明する.また,更なる小型化,薄型化に向けた開発動向についても紹介する.


LTCCデバイス-アンテナスイッチフィルタの開発-
■著者
松下電子部品(株) LCRデバイスカンパニー オプト・LTCCストラテジックビジネスユニット 田中 正治 他

■要約
従来,デジタル携帯電話では送受信を時間軸で切り替えるため,PIN ダイオードスイッチを用いた低ロスで小型の送受切り替えアンテナスイッチ共用器が使用されてきた.近年では,GSM/DCS/PCS に代表されるような3 つの周波数帯域を1 台で使用できるマルチバンド携帯端末が主流となってきているため,マルチバンドに対応したデバイスの多機能化が求められている.マルチバンド化によるデバイスの大型化を抑えるため,セラミック積層プロセス技術を用いたアンテナスイッチフィルタが開発された.低温同時焼成セラミックス材料(LTCC) と3 次元配線のセラミック積層プロセス技術,さらに3 次元高周波回路設計技術を用いることで,小型のアンテナスイッチフィルタを実現した.LTCC を用いたアンテナスイッチフィルタは,SAWフィルタ,半導体などを実装することで,小型で,かつ,さらなる機能の複合化が可能である.今後も,デジタル携帯電話機の進化を支えるキーデバイスとして,さらに発展していくものと考えられる.


高周波セラミックチップアンテナ
■著者
太陽誘電(株) 技術グループ 高周波プロジェクト 岡戸 広則 他

■要約
2002 年,無線LAN 市場では,IEEE802.11b 規格によるPC カードや無線LAN 内蔵PC が大幅な伸びを示している.また,その高速版であるIEEE802.11aなどのチップセットやそれを採用した商品開発も本格化してきている.これとは別に,期待されながら,伸び悩んでいたBluetooth も,ようやくここにきて,徐々に搭載機器が増えてきている.さらに,次世代無線であるUWB についても,大いに話題を集めており,マイクロ波を中心とした,これら大容量の無線インターフェイスは,ユビキタスネットワーク社会の実現に向けた,重要なキー技術の一つになってきているとともに,大きな期待がかけられている.この無線インターフェイスは,単に線を無くしただけでなく,場所や使い方の制約から開放された新しい市場を創出するとともに,白物家電などの成熟産業にもネット家電と呼ばれるような活性化を引き起こしている.今後,これらの普及を加速する上でも,これら無線インターフェイスの小型,低価格化が重要である.さらに,無線システムにおいて必要不可欠なアンテナも,高利得はもちろん,小型,低価格が求められている.ここでは,アンテナの種類・原理から,当社で開発したセラミックチップアンテナを例にして,その特徴,評価法,材料,製造プロセスを紹介する.また,応用例として,2.4GHz 帯の小型逆F 積層セラミックスアンテナの特性も合わせて報告する.


高周波通信用LTCCモジュール
■著者
NEC 機能材料研究所 主任研究員 生稲 一洋

■要約
携帯電話の爆発的な普及以降,無線通信は急激に身近な技術となっている.オフィスだけでなく,最近では家庭内で無線LAN が構築されたり,ETC レーンをノンストップで車が通過できるようになった.無線通信の利便性は,今後もますます活用の場を広げるであろう.新しいサービス,逆に言うとビジネスの創出のためにはより高速大容量の無線伝送が不可欠であり,それはより高周波帯の利用ということにつながる.本稿では高周波通信用モジュールへのLTCC (Low-Temperature Co-fired Ceramic) の利用について当社の事例を中心に述べることにする.


高周波用LTCC材料技術
■著者
(株)富士通研究所 材料・環境技術研究所 マイクロエレクトロニクス材料研究部 主任研究員 今中 佳彦

■要約
低温同時焼成セラミックス(Low Temperature Cofired Ceramics,LTCC) は特性の異なる材料を組込むことが比較的容易であるために,各種機能部品の内蔵・集積化の実現が可能である.また,このLTCCは低損失金属を導体として組み込むことができるとともに,樹脂等の他材料に比べて,高周波での誘電体損失が小さいために,信号の低損失化に効果的である.ここでは,部品・基板の集積化・高周波化に有効なLTCCの材料技術について,その一般的背景も含めて解説する.


吸収型高域遮断フィルタを使ったスペクトラム・マネージメント
■著者
TDKテクノ(株) 三浦 太郎

■要約
高周波の不要信号を除去・抑止する方法として,不要信号を回路の境界で反射したり吸収してゾーンの外側に漏洩させない「ゾーンの分離法」が有力である.回路の境界で該当周波数の境界インピーダンスを大幅に変化させれば反射が増大して不要信号漏洩を効果的に阻止できるため,電磁干渉対策には「境界反射によるゾーン分離」が広く採用されている.しかし,反射によって阻止された不要信号は他の経路をたどって新たな電磁干渉を引き起すおそれがあり,反射波の回り込みが顕在化する周波数帯(およそ100MHz 以上)の電磁干渉対策では不要信号を回路内で吸収させるのが望ましい.また,コンピュータで重要な役割を果たすバスの動作において,情報を運ぶパルス自身に高速化を妨げる周波数成分が含まれていることが明らかにされた.これらの問題から,高速で動作するデジタル回路を安定化させるには,回路内信号の周波数成分を周波数依存性のある吸収によって必要な範囲に制限する対策も重要である.この解説では,不要周波数成分を吸収によって除去する吸収型高域遮断フィルタおよびデジタル回路安定化に寄与する吸収型高域遮断フィルタ線路について述べ,これらの素子が解決した問題を回路動作を最適化するための「スペクトラム・マネージメント」として議論したい.


連載
近代日本のセラミックスの発展に尽力した偉人,怪人,異能,努力の人々(第4回)大倉孫兵衛と大倉和親-日本陶器(株)と大倉陶園,各務クリスタル
■著者
宗宮 重行

■要約
本シリーズの第3回に森村市左衛門と森村豊,森村組の設立,とその発展について述べた.この森村市左衛門と共に森村組の初期の活動に「国家のためになるならば」ということで大倉孫兵衛が協力している.森村市左衛門,森村豊と一緒に記述しようと考えたが,別の方がよいのではないかと思い,記事作成中に考え方が変り,大倉孫兵衛と大倉和親と,親子を一緒にして記述することにした.


連載
タイ便り (その9) NGO
■著者
Chulalongkorn Univ.Faculty of Science 教授 和田 重孝

■要約
このところ外務省がいろいろ批判されている.私のような政治に比較的無関心な人間でもおかしいと思うことが多い.でも,そのほとんどは新聞や書籍を通して知る遠い世界のことだった.しかし,タイに来て見ると,自分の身近なところで,日本の対外政策と関連のある出来事が動いている.それで,本稿では,日本の対外政策に関連して,日本にいる皆様には経験できない事柄について書いてみたい.少し以前なら以下のことは書かなかったかもしれない.その理由は,書いても聞いてもらえないと思うからである.しかし,今,外務省は外圧が強く,我々の意見も聞く耳をもつようになってきたのではないかと期待している.しかし,私にはその筋に意見を述べるルートがない.ここに書くことは批判のための批判ではなく,日本の対外政策が良くなってほしいという思いで書いている.
数量:

この商品に対するお客様の声

この商品に対するご感想をぜひお寄せください。