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マテリアル インテグレーション 2002年6月号

マテリアル インテグレーション 2002年6月号

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マテリアル インテグレーション 2002年6月号
特集 燃料電池と二次電池の新しい展開

巻頭言
NEC 機能材料研究所 主席技師 米澤 正智
 本誌の1999年の3月号で筆者が担当した「Liイオン二次電池の産業と技術の最近の進歩」の特集を行ってから3年経過した.この間Li イオン二次電池は2000年に年間3110億円の出荷規模に達し最盛期を迎えた.しかしながら最近の急激なIT バブルにより,2001 年度は数量では約7%減,出荷額で約18%減の2560億円となってきている.一方この 3年の間ではエネルギー・環境問題に関する世界的な関心はますます高まってきており,自動車の排ガス低減,燃費の向上,新しいエネルギー資源の活用が進んでいる.
日本政府による2001 年度より公用車の低公害車への切り替え計画の策定と実行,2010年度には日本国内で現在運行中の約15 倍に当たる1000万台を低公害車にするという計画,米国では2002年1 月に省エネ・低公害車への30億ドルの優遇税制(11 年間)や研究開発への政府資金の投入等の新しい政策が発表された.欧州では2007 年に新たな燃費の規制が始まると言われている.
 研究開発分野では石油資源に頼らず,水素と酸素の反応を利用した燃料電池の進展はめざましく,世界規模での競争が激しくなってきており,公道での燃料電池搭載車の走行試験も始まり,2003年度には商用化の計画があるが,本格的な普及は2010年以降と予測されている.これには耐久性の向上,コストダウン,燃料の選択と供給体制等多くの課題がある.
 またこの燃料電池の携帯機器への搭載を目指した新しい研究開発もホットな話題となっており,新素材であるカーボンナノチューブのこの分野への応用は注目されている.二次電池の分野では新しい正極材料や負極材料の研究開発も継続されており,電解質の液体系からゲル化や固体化による全固体化二次電池の研究も進展している.応用面では大容量化,ハイパワー化及び長寿命化により携帯機器から電動自転車,ハイブリッド自動車や電力貯蔵等への開発や実用化が本格化している.特にハイブリッド自動車は機能の多様化と車種の拡大が続き,当面省エネ・低公害の自動車として期待が大きくなっている.大規模な電力貯蔵では試験運転を終えたレドックスフロー電池やNAS電池の商用化も本格化し,日本国内のみならず海外への輸出も始まっているようである.
 日本の生産競争力低下が目立ち始めているが技術開発面では本特集で紹介した分野は世界の先端を走っている.本特集号では内容が多岐に渡っているが,連携・補完する面と競合する面もある.従って技術間の競争や研究機関および国家間の競争がますます進展し,大いなる発展が期待できる分野でもあり,多くの人たちの注目を集め続けて行くであろう.最後に多忙の中,本特集号に寄稿された執筆者に深く感謝すると共に読み応えのある特集号になることを期待しております.

マテリアル インテグレーション 2002年6月号
ELECTRONIC CERAMICS 燃料電池と二次電池の新しい展開

燃料電池の開発動向
■著者
神谷 信行

■要約
燃料電池の歴史は1801年のデービーによる燃料電池の原理の発見,1839年のイギリスのグローブ卿の実験に始まるといわれている.しかし,実際に本格的な研究が行われるようになったのは1961年頃からで,NASAが宇宙船用電源として開発を始めた時であろう.最近はエネルギーと環境が大きなキーワードになって日常,新聞やテレビでも紹介されるようになった.しかし,一口 に燃料電池といっても,いろいろな種類のものがあり,それぞれ,開発には大変な苦労がなされてきた.


カーボンナノホーンを用いた携帯燃料電池の開発
■著者
久保 佳実

■要約
電池切れ問題がクローズアップされてきたのは,i-modeなどのデータ通信が本格的に普及したここ1,2年のことだ.約2時間という携帯電話の連続使用時間は,音声通話には十分であるがメールのやり取りやデータのダウンロードを始めるとたちまち不足する.家を出てから帰るまでの十数時間,ケイタイは動きつづけることを要求される.この「情報爆発」ともいうべき環境の変化が,いま携帯電源に根本的な革命を求めているのである.


リチウム二次電池新規正極材料
■著者
武田 保雄,今西 誠之,平野 敦

■要約
注目すべき多くの新規正極材料が提案されているが,筆者自身にはそれらすべてを公平に判断することが出来ない.ここでは,筆者が興味を持って注目している物質群についてその概略を紹介したいと思う.


リチウム電池用合金系負極材料の新展開
■著者
和田 仁,境 哲男

■要約
筆者らは,ナノレベルでの複合化が容易なメカニカルアロイング(MA)法や粉末焼結法,電気めっき法などを用いて,実用的なサイクル寿命特性を目標にして,各種のSn 合金系材料の探索研究を実施している.本稿では,これまで公表したスズ系コンポジット合金の特徴と電極特性について紹介する.


無機系固体電解質を用いた全固体リチウム電池
■著者
町田 信也,重松 利彦

■要約
全固体リチウム電池に用いるための電極材料に要求される特性を中心に,我々が取り組んでいる全固体リチウム電池を紹介し たい.


マイルドハイブリッド車用36V制御弁式鉛電池の開発
■著者
山中 健司,秦 公樹,大前 孝夫,坪田 正温

■要約
日本電池(株)は,トヨタ自動車(株)殿と共同で,上記の要求を満足する42Vシステム用の36V電池として,制御弁式鉛(VRLA :Valve Regulated Lead ・ Acid)電池の開発に取り組んだ.本報では,この36V 電池の概要を述べるとともに,充放電特性および寿命性能の一例と,SOCおよびSOH の推定方法について報告する.


HEV用角型ニッケル・水素蓄電池
■著者
湯淺 真一, 藤岡 徳之,金丸 邦夫,高橋 収

■要約
国内外の自動車メーカ各社は,本格的な電気自動車(Pure EV)やガソリン車を越える性能を有するハイブリッド電気自動車(HEV)の開発・実用化に本腰を入れて取り組んでいる.ここでは,すでに量産を行っている当社のHEV用ニッケル・水素蓄電池について述べる.


車載用Mn系Liイオン二次電池材料と積層ラミネート型電池の開発
■著者
米澤 正智,雨宮 千夏,栗原 淳子 ,白方 雅人,吉岡 伸晃

■要約
国内外の自動車メーカ各社は,本格的な電気自動車(Pure EV)やガソリン車を越える性能を有するハイブリッド電気自動車(HEV)の開発・実用化に本腰を入れて取り組んでいる.ここでは,すでに量産を行っている当社のHEV用ニッケル・水素蓄電池について述べる.


Liイオン電池のバックアップ用途への適用可能性
■著者
朝倉 薫,下村 誠,正代 尊久

■要約
我々は,今まで,光アクセス系通信装置のバックアップ電源として,長寿命鉛蓄電池をはじめ,電池の高エネルギー密度化を目指し,長寿命ニカド電池,長寿命ニッケル水素電池の開発を行ってきた.Liイオン電池は,これらの電池に比べ遙かにエネルギー密度が高いため,バックアップ電池の小型・軽量化効果が大きい.本稿では,次世代バックアップ電池として期待が高いLiイオン電池を取り挙げ,バックアップ用途への適用可能性について解説する.


レドックスフロー電池の各種用途への適用
■著者
重松 敏夫

■要約
当社は1985 年来,関西電力(株)と共同でレドックスフロー電池の開発を進めている.昨今の電力事情の変化に伴い,当初の狙いであった負荷平準化機能のみならず,瞬低(瞬時電圧低下)補償機能,自然エネルギーの出力変動対策等の種々機能が要求されており,より一層期待が高まっている.本稿では,レドックスフロー電池の原理,特長とその各種適用例と共に使用されている材料について紹介したい.


ナトリウム-硫黄電池の開発・実用化
■著者
磯村 直樹,梶田 雅晴

■要約
本稿では,ナトリウムイオン伝導性を持つ固体電解質という機能性材料として,また,電池の正負極を分離するセパレーターという構造材料として高い信頼性を必要とするベータアルミナセラミックスの概要を紹介する.


セラミックス開発の新兵器:TG-MS [30]熱天秤-質量分析(TG-MS )法による発生ガスの定量分析
■著者
有井 忠

■要約
本稿では,ナトリウムイオン伝導性を持つ固体電解質という機能性材料として,また,電池の正負極を分離するセパレーターという構造材料として高い信頼性を必要とするベータアルミナセラミックスの概要を紹介する.


連載
近代日本のセラミックス産業と科学・技術の発展に尽力した偉人,怪人,異能,努力の人々(2)山内俊吉名誉教授
■著者
宗宮重行


連載
タイ便り(6)タイの生活あれこれ (2)
■著者
和田重孝

■要約
タイ便り(その4)の後にアンコール・ワットについて書かせていただいたので,以下は先々月の続きです.(はじめにより))
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