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マテリアル インテグレーション 2001年4月号

マテリアル インテグレーション 2001年4月号

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特集 多孔質セラミックスの新展開

マテリアル インテグレーション 2001年4月号
INTER MATERIAL 多孔質セラミックスの新展開

多孔質セラミックスの機械的特性の向上
■著者
長岡技術科学大学 松丸 幸司、石崎 幸三

■要約
セラミックス多孔質体は,古くから断熱材,吸音材,軽量壁材などの建築材料に用いられている.著者らの研究グループでは,セラミックスまたは金属からなる開気孔を有する多孔質体の成形体もしくは焼結体をカプセルを用いることなく熱間等方加圧(capsule-free-hot-isostatic-pressing:CFHIPing)処理することにより気孔率を保ちながら,強度を向上させる方法を提案してきた.本報では,α-Al2 O3 を用いてCFHIPing圧力の曲げ強度に及ぼす影響を明らかにした実験と多孔質体の応用として期待されているビトリファイドボンド砥石の機械的強度を向上させた例を示す.


アルミナセラミックス多孔体の破壊挙動
■著者
ケンブリッジ大学 J.Wang、 L.J.Vandeperre、 W.J.Clegg、 スウェーデンセラミックす研究所 C.Engebretsen、 E.carlstrom、産業技術総合研究所 シナジーセラミックス研究所 大司 達樹

■要約
セラミックスの多孔体を作製するもっとも単純でもっとも一般的な方法は粉末の凝集体(powder compact) を部分焼結することである.このような材料の破壊エネルギーを表現する時,通常,破壊エネルギーはき裂が進展する時に横切る材料の面積に関係づけられる.しかしながら,部分焼結したような多孔体では,セラミックス粒子は粒子間のネッキングの小さな領域でのみ結合されており,その領域は材料が緻密化するに従って増大していくが,き裂は,これらのネック部の領域のみを横切って進展していく.ここでは,セラミックス多孔体の破壊挙動を決定する際に重要な影響を及ぼす微細構造因子について,アルミナ粉末の部分焼結によって得られた多孔体を例に,とくに気孔率が20%以下の領域において議論する.


多機能型多孔質材料-高温脱塵・ガス検知・ガス分解の同時実現の可能性-
■著者
名古屋工業技術研究所 シナジーセラミックス特別研究所 鈴木 義和

■要約
日々深刻になりつつあるエネルギー問題や地球環境問題を解決する手段として,従来より効率が高く,かつ環境負荷の小さいエネルギーシステムの開発が進められている.最近,我々はジルコン酸カルシウム(CaZrO3 )とマグネシア(MgO)の擬二元系で構成される新規の多孔質複合材料を開発した.この材料は非常にシャープな気孔分布と特異な三次元ネットワーク構造をもつことを特徴としており,天然ドロマイト(CaMg(CO3 )2 )を主原料とした1段階のみの反応焼結(その場プロセス)で得られるものである.


一方向配向型気孔を有するセラミックス多孔体
■著者
名古屋工業技術研究所 シナジーセラミックス特別研究所 深澤 孝幸

■要約
開気孔を有するセラミックス多孔体は,フィルターや触媒,吸着材等の支持体として工業的に広く有用である.このような多孔体においては,気孔率や気孔径の制御に加え,気孔形態やその方向性なども重要なパラメータである.特に気孔の方向がそろった多孔体は流体透過に対する圧損が小さく,用途の拡大が期待できる.本稿では,アルミナおよび窒化ケイ素に適用した例について紹介する.


ヘキサアルミネート質多孔体の開発
■著者
ファインセラミック技術研究組合 シナジーセラミックス研究所 別府 義久

■要約
筆者は,高温の燃焼排ガス雰囲気下でも使用できる,特に耐蝕性に優れた多孔質材料の開発を試みた.材料として,ヘキサアルミネートを選択して多孔体の調製法を探索した.ヘキサアルミネートは,耐蝕性が優れているために,耐火物,中でもガラス溶解槽に用いる耐火物に多く用いられ,また放射性廃棄物のマトリックスの材料に適している.本稿では,これらの研究について報告する.


損傷・変形許容性多孔質窒化ケイ素材料
■著者
産業技術総合研究所 シナジーセラミックス研究所 大司 達樹、近藤直樹、ファインセラミック技術研究組合 シナジーセラミックス研究所 稲垣 良昭

■要約
セラミックスは強度,耐摩擦・摩耗性,耐熱・腐食性,軽量性に優れているため,金属やプラスチック材料では耐えることのできない過酷な環境下での構造用材料として期待されており,一部は実用化されている.しかし,セラミックスが,金属やプラスチック材料などにならぶ工業材料として認識を確立し,市場において広く普及していくには,価格などを含めいくつかの障害がある.その中の重要なもののひとつとして,いわゆる「セラミックスの壊れやすさ」といったようなものがあげられる.ここでは,窒化ケイ素の柱状粒子が配向したような多孔体が,その微細構造の変化によりどのような損傷許容性,変形許容性を示すかについて,粗大な柱状粒子が配向した窒化ケイ素多孔体と微細な柱状粒子が配向した窒化ケイ素多孔体を対象にして述べる.


メソポーラスセラミック分離膜の開発
■著者
旭硝子株式会社 中央研究所 表面処理技術グループ 近藤 新二

■要約
近年,ナノメーターサイズ(典型的には1〜100nm)の微細な構造を制御して,従来の素材やデバイスの特性を飛躍的に向上させる,いわゆるナノテクノロジーの研究が盛んに行われている.ポーラスセラミックスに関していえば,10年程前から構造制御されたナノメーターサイズの孔を持つ無機多孔質体の開発が盛んに行われてきた.メソポーラスセラミック膜の場合,様々な孔の形状や配置が考えられるが,膜面に垂直な一次元貫通孔を持つものがあれば,有害物質除去分離膜の他,高活性選択性触媒などに好適に利用可能である.我々は「共晶分解法」と呼ばれる独自の方法を開発し,膜面に垂直な一次元貫通孔を持つメソ多孔質膜を作製することに成功したので紹介したい.


液体ろ過用多孔質窒化ケイ素の開発
■著者
住友電工ファインポリマー株式会社 商品開発部 朴 辰珠、森田 徹、住友電気工業株式会社 伊丹研究所 河合 千尋、小村 修、山川 晃

■要約
地球環境保全が,世界共通のテーマとなっている中,排ガス浄化や排水,廃液処理,さらには汚水や溶剤の浄化,回収・再利用等の分野において,経済性に優れた膜分離に対するニーズが年々高まっている.その中でも耐薬品・耐溶剤性,耐圧・耐熱性および耐磨耗性に優れたセラミックフィルタへの期待が高い.本報告では,多孔質Si3 N4 の特徴をはじめとして,開発したフィルタモジュールの材料組織,モジュール構造,そしてアプリケーションの一つとして半導体CMP排水処理用フィルタへ適用した内容について述べる.


連載
粉体粒子の複合化とセラミックス構造制御(1)セラミックス粒子の構造と機能について
■著者
九州大学大学院工業研究員応用化学部門 北條 純一

■要約
セラミックスの多くは結晶粒子が集合した構造で形成されており,その機能は結晶粒子の物理的・化学的性質のみならず結晶粒子の大きさと分布,粒子界面の特性,気孔や第二相の大きさと分布によって著しく影響される.セラミックスの製造法として,粉体粒子を焼結する方法,溶液中でのゾル・ゲル法によるバルクまたは薄膜の作製,あるいは気相からの析出法など各種の技術が開発されてきたが,いずれにおいても重要なことは,いかにして材料の組織を制御するかにある.筆者はこれまでセラミックス微粒子の合成と応用について研究し,とくに最近は複合材料の組織制御を目指した複合粒子の設計に関する研究を行ってきた.まず今回は,序論として粉体粒子の微粒化と複合化の意義,これまでの研究概要を紹介させていただきたい.


連載特集
セラミックス開発の新兵器:TG-MS[22]TG-FTIRによるセラミックス原料の脱炭酸ガス反応
■著者
福井大学 伊佐 公男、陳 建平、小平 俊之、理学電気株式会社 有井 忠

■要約
この手法を日本で立ち上げてきたものの一人として,少し,歴史と意義を述べ,今回の実験結果を述べ,さらに,将来の課題の一部を述べたいと思います.最初の部分はTG-MSを編年形式で,次いで,表題物質の測定の結果を述べます.さらに最後の部分では,MSのフラグメンテーションや,物質同定の確度をあげるために15年間取り組んできたタンデムMS法の現状とその技術の問題点と,さらにTG-MS法への影響を述べたいと思います.最後の部分は現状ではまだTG-MS法にほとんど登場してませんが,21世紀の早い時期に問題が見えてくるものと思うのは,我々だけではないだろうと思います.


連載
ヴェネツィアンガラスを遡る(1)洞窟から出たヨーロッパ製のガラス鏡
■著者
寺井ガラス技術事務所 寺井 良平

■要約
昨今の海外旅行ブームで,たくさんの人がヴェネツィアを訪れ,その誰もがサン・マルコ広場の美観に感心する.三度ヴェネツィアを訪れ,毎度この広場に立った私もその一人だ.ヴェネツィア共和国を打ち滅ぼしたナポレオンも,今から200年前に,この広場を見て「世界で最も美しい大広間」と感嘆したらしい.ところが,実はこのナポレオンよりも更に200年も前に,彼と同じように,この広場の見事さに感銘を受けた日本人がいた.天正年間,九州のキリシタン大名からローマに派遣された少年たち,世にいう「天正遣欧使節」の面々である.彼らはイエズス会宣教師らに連れられ,1582年から往復8年余もかけてローマ・ヴァチカン訪問を果たす.ちょうど羽柴秀吉が関白に就任する頃の話である.
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