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マテリアル インテグレーション 2000年12月号

マテリアル インテグレーション 2000年12月号

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マテリアル インテグレーション 2000年12月号
特集 スピンエレクトロニクス

総説:スピンエレクトロニクス
■著者
東北大学 電気通信研究所 超高密度・高速知能システム実験施設 大野 英男

■要約
半導体エレクトロニクスでは電子の電荷を,磁性体エレクトロニクスでは電子のスピンを利用してきたが,電子の電荷とスピンを用いるエレクトロニクス,スピンエレクトロニクスがそれである.本号の各記事は,個別に発展しそれぞれ大きな成功を収めてきた半導体エレクトロニクスと磁性体エレクトロニクスの接点に,新しくスピンエレクトロニクスと定義される分野が生まれ,ここに情報エレクトロニクスにおける未開拓の広大なフロンティアと大きなビジネスチャンスが拡がっていることを示している.


伝導電子-スピン
スピントンネル接合
■著者
東北大学大学院 工学研究科 応用物理学科 宮崎 照宣

■要約
TMR効果を利用したヘッドの研究は主に日本で行われているが,アメリカ,ドイツ等ではTMR効果を不揮発性メモリMRAM(magnetoresistive random access memory)に応用する研究が進んでいる.TMR効果の再生磁気ヘッド,MRAMに関する説明は本誌でも他の研究者により紹介される.本稿ではそれらの解説への導入として,トンネル磁気抵抗効果の現象論と応用のための材料(接合)特性について記述する.


伝導電子-スピン
MRAM開発の現状と将来展望
■著者
東北大学大学院 工学研究科 マテリアル・開発系 猪俣 浩一郎

■要約
MRAMは不揮発性固体磁気メモリであり,電源を切ると記憶が失われるDRAMとは機能を異にしている.最近の大きなトンネル磁気抵抗(TMR)の実現に伴い,MRAMが大きく期待されるようになってきた.21世紀は大量の情報を記憶し高速で通信できる,高機能情報機器が日常的に使われると予想される.このような社会ではメモリは低消費電力の観点から不揮発性が強く求められ,また高速書き換えが不可欠になる.MRAMはそのような新しいメモリの主流になり得るだろうか.本論ではMRAM開発の現状をレビューし,将来を展望してみたい.


伝導電子-スピン
トンネルGMR効果の再生ヘッドへの展開
■著者
TDK(株) 記録技術開発センター 荒木 悟

■要約
急速な記録密度ののびを支えるために,再生ヘッドも大きな技術革新を繰り返してきた.近年ではスピンバルブGMRヘッドが実用化されているが,次世代の大容量HDDにおいてはこのスピンバルブヘッドでも再生出力が十分でなくなってきた.そのため各種の新しいスピンバルブ構造が提案され,ヘッド出力の増大が模索されている.しかしながら現状レベルの延長で得られる改良にも自ずと限界がある.その一方で,困難な局面を大きく打破するための,画期的な技術革新が切望されている.この新技術としての候補のひとつがここで述べるTMRヘッドである.TMR効果は後に詳しく述べるが,40%を越えるMR変化率を示し,大きな再生出力が期待され,スピンバルブの次の新技術として期待を集めている.ここでTMR効果の再生ヘッドへの応用と,実用に向けた課題等について議論したい.


伝導電子-スピン
ペロブスカイト型Mn酸化物スピントンネル接合
■著者
NEC システムデバイス・基礎研究本部 小畑 毅、島川 祐一、真子 隆志、久保 佳実

■要約
なかでもMnペロブスカイト酸化物を用いた接合の研究は活発で,低温ではあるが通常の強磁性体金属・合金をはるかに凌ぐ大きなTMR比が実証されてきた.しかし残念なことに,これらのMnペロブスカイト薄膜を用いた酸化物スピントンネル接合においては,TMRがMnペロブスカイト薄膜の強磁性キュリー温度に比べてはるかに低温で観測されなくなるという問題があった.我々はこの問題の原因の一端がMnペロブスカイト薄膜の品質,およびバリア膜の均一性や厚さ制御にあることを明らかにしてきた.そこで本稿ではMnペロブスカイト薄膜を用いたスピントンネルの作製,およびそのTMR特性,電気伝導特性などを評価した結果を膜厚の影響を中心に総括する.


伝導電子-スピン
バリスティック電子が示すGMR効果
■著者
(株)東芝研究開発センター 新機能材料デバイスラボ 佐藤 利江、東芝リサーチコンサルティング(株) 水島 公一

■要約
GMR素子に比べてより大きな磁気抵抗効果を示す素子を実現する一つの方法はフェルミ面上の伝導電子に替えて,ある特定のエネルギーを持ち結晶の特定方位に沿って進む電子の伝導現象を利用することではないかと思われる.伝導に寄与する電子のエネルギーと進む方向を最適化することにより,伝導度のスピン依存性が強まり,MR比が増大することが期待される.このような方針に基づいて我々が進めているスピンバルブトランジスターと呼ばれる素子の開発状況を以下に紹介する.


光―スピン(半導体とスピン)
III-V族磁性半導体とそのヘテロ構造
■著者
東北大学 電気通信研究所 超高密度・高速知能システム実験施設 大野 祐三、松倉 文、大野 英男

■要約
近年,GaAsのように実用的なデバイスに広く用いられている半導体をベースとした希薄磁性半導体で強磁性が見出されて以来,半導体のスピン物性は応用の観点からも注目を浴び,国内外で活発に研究が行われるようになった.優れた磁気特性を有する(強)磁性半導体と,従来の半導体デバイスおよびプロセス技術が融合すれば,不揮発メモリや磁気センサー,光の偏光制御素子等の機能を全て半導体で実現し,集積化も可能となる.さらに,光や電界で磁性(スピン)を制御できれば,従来にない全く新しい機能を有するデバイスの誕生が期待できる.本稿では,多種多様に存在する磁性半導体の中で,III-V族の化合物半導体をベースとした強磁性半導体,特に(Ga,Mn)Asとそのヘテロ構造に焦点を絞り,最近の研究から応用上魅力的な機能・物性について概説する.


光―スピン(半導体とスピン)
スピンFETの可能性
■著者
NTT物性科学基礎研究所 新田 淳作

■要約
磁性体/非磁性体金属積層構造における巨大磁気抵抗(GMR)や強磁性体トンネル接合(TMR)における大きな磁気抵抗変化の発見により,電子の有するスピンの性質が重要な役割を果たしていることが明らかになったという事実がある.しかしながら,GMRやTMRは,基本的に二端子素子であり,具体的な応用としては,メモリーやセンサー等の受動素子になってしまう.電界効果スピントランジスタ(スピンFET)は,この電子の有するスピンの自由度をゲート電圧によって制御する三端子素子として注目されている.本稿では,まずスピンFETの動作原理について概説し,実現するうえでの問題点であるスピン軌道相互作用のゲート電圧制御と強磁性体電極からの偏極スピン電子注入について述べる.


光―スピン(半導体とスピン)
希薄磁性半導体の光スピン機能の応用
■著者
電子技術総合研究所 安藤 功兒、Wadim Zaets、秋本 良一

■要約
半導体スピンエレクトロニクスまたは半導体スピントロニクスと呼ばれるこの分野では,現在,新物質の開発やその物性評価などの基礎的な研究が中心的なトピックスとなっているが,我々はスピンの機能を利用した具体的なデバイスへの応用を通じて,その可能性を明らかにしようとしている.本文では,半導体スピンエレクトロニクスの代表的な材料であるII-VI族希薄磁性半導体の光スピン機能について述べる.Cd1-x Mnx Teに代表されるII-VI 族希薄磁性半導体は透明でかつ大きな磁気光学効果を示すために,既に光通信用の光アイソレータとして実用化されている.この物質の持つ半導体,磁性体,透明物質という三つの特徴を利用した新しい応用の可能性として,光集積回路用磁気光学導波路と高速光パルスを用いた半導体中の磁性スピンの直接制御技術の二つの例を紹介する.


光―スピン(半導体とスピン)
強磁性金属-半導体グラニュラー系
■著者
アトムテクノロジー研究体:産業技術融合領域研究所 秋永 広幸

■要約
我々のグループでは,強磁性体と半導体とのハイブリッド構造を作製する目的を,その強磁性を光(特に可視光領域)で制御できないか,あるいは半導体の光物性にスピン依存現象を重畳できないか,というところに置いている.これらの物理現象が基礎研究の場として魅力的であるばかりでなく,その機構の解明がスピンエレクトロニクスデバイスを考案していく際の糧になると考えている.それでは,強磁性金属-半導体グラニュラー構造は,その研究目的を達成するに足る素材であろうか?本稿では,当研究グループでの研究成果を中心に,2種類の強磁性金属-半導体グラニュラー構造の作製方法を紹介する.そして,それぞれの作製方法で得られたグラニュラー構造における幾つかの特徴的な物性を紹介し,それらグラニュラー構造の持つエレクトロニクス材料としての可能性について考える.


光―スピン(半導体とスピン)
希薄磁性半導体の巨大磁気光学効果を用いた光デバイス  
■著者
(株)トーキン 光デバイス事業推進部 商品開発部 小野寺 晃一

■要約
光通信波長である1310nm〜1650nm帯の光アイソレータに使われるファラデー回転子には,LPE法(Liquid Phase Epitaxial method) で製造されるBi置換鉄ガーネット単結晶膜が広く使われている.しかしながら,630nm〜1047nm帯では, 鉄ガーネットの8面体サイトのFe3+に起因する約900nmを中心とした光吸収の影響を受けて,実用的な光透過損失が得られない問題があった.この波長領域のファラデー回転子には,II-VI族希薄磁性半導体である(Cd, Mn)Te, (Cd, Mn, Hg)Teおよび(Cd, Mn, Hg)(Te, Se)単結晶が使われている.本稿では,II-VI族希薄磁性半導体の磁気光学特性およびそれを用いた光アイソレータの応用について解説する.


解説
低温における超撥水・超親水コーティング膜の作成
■著者
大阪府立大学大学院 工学研究科 忠永 清治、南 努

■要約
ガラス,セラミックス,金属,高分子などの表面を改質し,新しい機能を付与することが近年盛んに研究されているが,その代表例として,撥水・親水性の付与が挙げられる.より大きな撥水・親水性を示す表面を得るためには,化学的性質と形状の両方の要因を制御する必要がある.我々はこれまでに,ゾル-ゲル法により表面に微小な凹凸を持つアルミナ薄膜をガラス基板上に形成し,加水分解したフルオロアルキルトリメトキシシラン(FAS)で撥水処理することにより,透明な超撥水膜が得ることに成功したことを報告した.また,これまでのプロセス全体の低温化を検討し,その結果,極めて容易な手法で,PET基板を含む様々な高分子基板上に,透明な超撥水コーティング膜が形成できることを最近見出した.ここでは,その作製プロセスと特性について紹介する.


連載
入門:ジルコニアの道(未知)-Part 11- ジルコニアの原料について
■著者
ZrO2ファンクラブ

■要約
本連載は,著者がこれまでの研究にもとづいてまとめた,ジルコニアの基礎を連載で解説したものである.対象を専門の技術者より,むしろ営業関係や新人技術者,技術系でもセラミックス外の技術者とし,可能な限り学術文献から逸脱することを留意しまとめてる.連載の残りも1回ほどになった.今回は,ジルコニアに関して研究・開発する上で重要なジルコニアの基本物性や特性,結晶構造についてまとめ,単斜晶ジルコニア(Monoclinic ),正方晶ジルコニア(Tetragonal ),立方晶ジルコニア(Cubic )について述べた.


連載特集
セラミックス開発の新兵器:TG-MS [19]TG-MSによるBaTiO(C2O4)2・4H2Oの熱分解及びBaTiO3の生成過程の検討
■著者
(株)村田製作所 技術開発本部 山本 宏、出口 洋一、京都工芸繊維大学 工芸学部 一色 俊之、西尾 弘司、塩尻 詢

■要約
ビス(シュウ酸)酸化チタン(IV)バリウムBaTiO(C2 O4 )2 ・4H2 Oを熱分解することにより高純度,高活性かつ化学量論的なBaTiO3 を合成できる.この熱分解条件は生成するBaTiO3 粉末の粒径や化学的活性度に影響を与えるため,熱分解過程を把握することは極めて重要である.このためシュウ酸塩の熱分解機構の解明には多くの研究がなされてきた.これまでの研究には,主としてTGA,DTA,XRD,IRS等が用いられてきた.本稿では,BaTiO(C 2 O4 )2 ・4H2 Oの熱分解過程およびBaTiO3 の形成過程をTGA,DTAに加えTG/DTA-GC/MS,>in-situi> SEM,高温XRD,TEM,HR-TEM等を用いて観察を行い,これまでの結果と比較検討を行った.
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