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マテリアル インテグレーション 2000年2月号

マテリアル インテグレーション 2000年2月号

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マテリアル インテグレーション 2000年2月号
特集 生体組織を作るための新素材-材料が支える医学のルネッサンス-

再生医工学の誕生から今日まで
■著者
鈴鹿医療科学大学 医用工学部 筏 義人

■要約
再生あるいは再構築するべき生体組織のサイズが小さい場合には,生体材料の助けなしでもそれが可能であろうが,損傷組織が従来の薬物療法や外科手術では回復できないほど大きい場合は,生体材料の援助を必要とする.現在,大きな組織欠損の治療には,人工臓器と臓器移植が最も有効な方法であるが,再生医工学は,これらを補う第三の治療法として位置づけることができる.人工臓器には生体代替性と生体適合性に不満があり,臓器移植には絶対的な提供臓器の不足があるため,再生医工学に大きな期待が寄せられている.


自家骨に替わる複合材料
■著者
科学技術庁 無機材質研究所 第10研究グループ 田中 順三、 菊池 正紀 、 生駒 俊之

■要約
現在,失われた骨を治療するため,ある程度(10-20mm)の大きさまでは自家骨を移植する手術が行われている.一方,自家骨移植ができないような大きな骨欠損の治療には人工骨が用いられている.もし自家骨と同じように身体の中で本当の骨に変わる材料が合成できれば,自家骨移植で大きい欠損が治せない,あるいは人工骨を用いた場合の再手術のような問題を解決することができる.そのため,骨と同じような組成と構造をもち,骨と融和する人工骨が求められている.しかし,本当に身体の中で骨に変わる材料を工学的に合成することができるだろか.本稿では,試験管の中で骨と同じ組成・構造をもった人工骨つくるという課題について考えてみる.


新生骨の形成を支援する新材料の設計
■著者
奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 大槻 主税

■要約
1970年代初頭にHenchらは,ある種のガラスを骨の欠損部を埋入しておくと,生体の拒絶反応を受けることなく周囲の骨と接して強く結合することを見い出した.この骨と結合する性質を有する材料は,特異な生理学的活性を引き出すために設計された材料という意味で生体活性材料と呼ばれ,それら表面で新生骨が形成される性質は骨伝導(osteo conduction)と呼ばれている.生体活性材料がその骨伝導性を活かして,再生医学や組織工学分野の期待に応えるには,材料が骨伝導性を発現する機構を解明し,それに基づいた生体活性材料を新たに設計する必要がある.本稿では,生体活性材料が骨伝導性を発現する機構を述べ,次いでその基本原理に基づいた新しい生体活性材料の開発に関する研究を紹介し,骨組織の再建を助ける生体活性材料の展開を述べる.


セラミックス多孔体を用いた骨再生
■著者
奈良県立医科大学 整形外科 大串 始

■要約
ある種のガラスセラミックスやハイドロキシアパタイト(HA)に代表されるリン酸カルシウム系セラミックスは骨欠損部に移植された場合,これら生体インプラントの表面と骨組織が直接化学的に結合することが知られ,このようなインプラントは生体活性材料 (bioactive materials)と呼ばれている.しかし,このような骨結合が起こる過程の詳細は不明である. この過程を観察するために,著者等は骨髄細胞と多孔性インプラントとのハイブリッドを作製して皮下に移植するという実験方法を開発した.以後この実験方法を用い種々生体活性材料表面での細胞分化の証明を組織的,生化学的さらに分子生物学的手法を用い行ってきた.また,これら新鮮骨髄細胞のみならず,in vitro条件下,組織培養技術を用いる臨床応用をめざしての組織工学的アプローチを行ってきた.本稿では,著者等のこれまでの研究成果と展望について紹介する.


生体組織工学と力学的刺激
■著者
工業技術院 産業技術融合領域研究所 立石 哲也、牛田 多加志

■要約
高齢者の機能低下で最も深刻なものは運動機能,特に荷重関節と言われている.股・膝・足の各関節の障害である.わが国では現在年間約5万個,500億円の人工関節が体内に設置され障害者の根治療法として確固たる地位を築いているが,依然として未解決な問題をかかえていて,医療用具としての平均寿命は10年程度というのが実状である.これに対する有力な解決策は軟骨再生である.ここでは,その現状を考えるとともに,軟骨細胞・組織を生体外でその機能を失わせることなく増殖・維持することを目的に,著者らが行った軟骨細胞培養実験を概説する.


失った軟骨は再生できるか?
■著者
国立大阪南病院 理学療法科 脇谷 滋之

■要約
整形外科の分野では,人工関節などの人工材料の進歩はめざましい.しかし,近年,組織再生工学が大きな関心を集め,整形外科の分野でも,自己軟骨細胞など様々な細胞を利用して軟骨の再生が試みられている.著者等は骨髄間葉系細胞の中にある骨軟骨前駆細胞をヒトの関節軟骨欠損部に移植して良好な成績があげられることを明らかにした.本稿では,この方法を紹介するとともに,関節軟骨の特性,これまでに実験的に行われてきた関節軟骨欠損の修復方法,現在臨床で行われている方法,および将来行われるであろう方法について解説する.


靱帯・腱の再建と再生に用いられる生体吸収性材料
■著者
グンゼ(株)研究開発部 メディカル材料センター 鈴木 昌和、松田 晶二郎

■要約
現在,生体組織の構造や機能を代替するために人工臓器が用いられるが,人工臓器のみでその臓器本来の役目を長期にわたって十分に果たしている製品はきわめて少ない.そのほとんどは一時的代替(例えば,補助人工心臓),その臓器が有する機能の一部の代替(例えば,人工腎臓),その臓器の支え(例えば,人工関節),などである.生体材料,バイオテクノロジー,細胞生物学,などの最近の進歩により,人工臓器のみでは夢であった最終目標を眼に見える形で提供してくれるようになったのが再生医工学である.再生医工学における必須の道具だては,細胞,細胞の足場となる支持体および細胞増殖・分化因子の三つである.本稿では損傷した靱帯と腱を再建および再生する場合の足場となる生体吸収性材料について述べる.


組織再生による靭帯の再建
■著者
茨城県立医療大学付属病院 整形外科 坂根 正孝、筑波大学 体育科学系スポーツ医学 宮永 豊 、下條 仁士

■要約
近年,細胞組織修復の足場として細胞親和性が高く三次元的な構造をもつ生体材料の開発も進歩してきたこと等により,細胞組織工学(Tissue engineering)の臨床医学への応用は急速に進展している.人工素材だけでは臨床的に限界がある皮膚・軟骨・筋肉・靭帯など整形外科領域において,Tissue engineeringの臨床応用が最も早期にすすむと有力視されている.本稿では,膝前十字靭帯の治療を中心に,現在多施設で開発中のTissue engineering を使った組織再生靭帯について,正常膝前十字靭帯の構造・機能や人工靭帯・自家組織による再建術の結果と比較しながら,現状と問題点につき検証する.


神経を再生する医療
■著者
京都大学再生医学研究所 清水 慶彦

■要約
近年,交通事故,災害などにより,四肢,手指,足趾,その他の末梢神経が損傷を受け,修復しきれない症例の増加が著しい.その他,一般的手術に伴って,末梢神経を切除せざるを得ない臨床例も多い.人工的な材料による接合チューブを用いて,末梢神経のギャップを連結して神経を再生させようという試みは1980年代初め頃から盛んに行われ,年代と共に種々の人工材料による接合チャンネルの研究が進められてきた.ここでは,著者の研究について解説し,今後の課題についても触れる.


細胞シート工学による肝組織の再建
■著者
東京女子医科大学 医用工学研究施設  大和 雅之、岡野 光夫

■要約
遺伝子組換え技術に端を発する遺伝子工学やモノクローナル抗体産生技術に代表される細胞工学に続く次世代技術として,「組織工学(tissue engineering)」が大きく注目されている.組織工学が達成を目指す技術は,大きく2つに分類できる.一つは生体内での迅速な組織再生を誘導する技術であり,他方は生きた細胞を活用して体外で組織構造を再構築する技術である.本稿では,近年注目を集めている肝細胞の培養技術,培養系での肝特異的組織構造の再構築に焦点をあて,その核心的基盤技術と目される培養用マテリアルの観点から概説する.


細胞増殖に対するバイオセラミックスのエレクトロベクトル効果
■著者
東京医科歯科大学 生体工学材料研究所 大柿 真毅、中村 聡、山下 仁大

■要約
生体材料の表面機能は,材料組成,表面性状および作製条件によって決まり,材料と周辺環境との相互作用は材料そのものの性質に依存することが大きい.筆者らはこれまで,電気的処理により生体セラミック材料表面近傍に空間電荷層を形成し,材料表面に反応活性空間を構築することを検討してきた.この新たな反応活性および活性がもたらすものをエレクトロベクトル効果(Electrovectorial Effect)と呼ぶ.筆者らは既にエレクトロベクトル効果を利用してセラミックス上に液相から固体の析出を制御し,さらには,エレクトロベクトル効果によりセラミックス表面上での骨芽様細胞の増殖を制御した. 本稿では擬似体液中の骨類似結晶成長制御と骨芽様細胞の増殖制御に対するエレクトロベクトル効果について概説する.


皮膚の再生を助ける素材
■著者
奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 谷原 正夫

■要約
皮膚は細菌やウイルスなどの外敵から身を守る最前線にあるため,本来再生能力が高い.皮膚の損傷の治療は古くからガーゼや包帯により行われてきたが,易感染性や瘢痕形成などの問題があった.近代になり,創部に体液を保って治癒を促進する閉鎖性被覆材の概念が確立され,ポリウレタンやカルボキシメチルセルロース,キチン/キトサン,コラーゲン,アルギン酸などを素材とする創傷被覆材が次々の開発された.これらは先駆的な組織再生促進材料と言える.組織の修復・再生を促進する材料には,体液中の増殖因子を安定に保つこと,細胞増殖の足場を与えること,細菌感染を防御すること,さらに積極的に細胞の増殖と分化を促進することが要求される. 本稿では皮膚の再生促進材料に対する筆者らの取り組みを紹介する.


癌を治療する材料
■著者
京都大学工学研究科 材料化学専攻 川下 将一

■要約
現在,癌を治療する方法においては,患部を切除する外科的療法が一般的である.しかし,一旦切除されると機能を回復し得ない臓器も多い.従って,患部を切除することなく癌細胞のみを死滅させ,正常細胞の増殖を促す療法の開発が望まれる.その方法としては,化学療法,免疫学的療法,放射線療法,温熱療法などが考えられる.しかし,正常細胞を傷めず,癌細胞に対してだけ有効な抗癌剤や抗体を作る方法は今のところ開発されていない.そこで,これまでに,癌細胞のみを死滅させる種々のセラミックスを開発する試みがなされてきた.本稿では,それらを紹介する.


生体材料の未来-ロボコップ?
■著者
岡山大学 工学部 生物機能工学科 尾坂 明義

■要約
「Tissue Engineering」による組織再生は,人体組織を培養・増殖してそれら組織の欠損を修復し現状に復帰させようとの意図を持つ.他方では,人体組織機能の一部分を発揮する材料で組織を置換し機能の一部を代行する場合も,組織再生の重要な役割である.しかし,どんなにがんばっても人工材料は,現在のところ,求められた能力に関して限界がある.ここでは,人工材料の解決すべき問題点などをあげ,材料としての目的について述べる.


連載
入門:ジルコニアの道(未知)-Part 1-
■著者
ZrO2ファンクラブ

■要約
本稿は,著者がこれまでの研究にもとづいてまとめた,ジルコニアの基礎を連載で解説したものである.対象を専門の技術者より,むしろ営業関係や新人技術者,技術系でもセラミックス外の技術者とし,可能な限り学術文献から逸脱することを留意しまとめている.・ジルコニアの用途いろいろ(全体像),・ジルコニアの用途で,主成分組成がジルコニア(Y2O3を固溶)であって,最も分かり易い(素人受けし易い)キュービックジルコニア,についてまとめている.


連載特集
セラミックス開発の新兵器:TG-MS [9]噴霧熱分解法によるZnO粒子生成メカニズムのTG-MSによる検討 
■著者
理学電機(株)熱分析事業部 有井 忠、東京工業大学工学部 澤田 豊、 関 成之、湘南工科大学工学部 木枝 暢夫

■要約
噴霧熱分解法(Spray Pyrolysis)は,目的物質の成分を含んだ溶液を噴霧して数?数10μmサイズの液滴とし,これを乾燥,熱分解して微粒子状の生成物を得るプロセスであり,特に,多成分系の均質な微粒子を比較的簡単に合成できることから,酸化物超伝導体などを始めとする各種原料粉末の合成などに応用されている.著者らは,新規な分析法であるTG-MS法に着目し,噴霧熱分解ZnO用の前駆体原料からのZnO粒子形成プロセス(熱分解反応)を検討した.ここでは,その実験及び結果を解説する.
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