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PDF/月刊誌論文/code:pg_0405_03 マテリアル インテグレーション 2004年5月号

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PDF/月刊誌論文/code:pg_0405_03 マテリアル インテグレーション 2004年5月号
INTER MATERIAL 異方性工学のすすめ(2)プロセスと異方性

有機マトリックスを利用した異方性材料設計-生体模倣技術からのアプローチ-
■著者
(独)産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 佐藤 公泰

■要約
自然界に生きる生物の体内にはさまざまな無機物質が存在し,生物が生きていく上で重要な役割を担っている.脊椎動物の骨・歯,軟体動物の貝殻,甲殻類の外骨格などはその好例である.生物中の無機物質は一般に生体鉱物と呼ばれ,その形成過程は生体鉱化作用として知られている.生体鉱化作用は,生物が生息している穏和な常温・常圧環境下で,体液中の無機イオンを固体に変換するプロセスである.生体鉱物が有機物質と複合化・組織化された構造体は,生命活動に必要な機能を果たす上で,最小の材料で最大の効果を発揮するような構成をとっている.例えば大腿骨や脛骨など,長管骨と呼ばれる骨は,その幹の部分が皮質骨と呼ばれる緻密な部位によって囲まれている.皮質骨はその強度に高い異方性があり,骨の長軸方向の強度が最も高いことが知られている.長管骨が日常的に長軸方向の負荷に晒されるため,主応力方向である長軸方向に選択的に強化されているのである.このような生体骨の外力への最適化は,「骨の構造と外形は,加わる機械的刺激に応じて変化する」というWolffの法則として19世紀から知られてきた.つまり生体骨は,身体を支えるという機能を果たす上で,機械的強度の異方性を備えることにより,最小の材料で最大の効果を実現している.まさに,天然の異方性材料であると言える.硬組織はしばしば階層化された組織を持っており,その最も微細な構造は細胞のサイズよりはるかに小さく,細胞によって組み立てられるものではない.材料自身の性質によって自己組織化的に形成されると考えられる.生体鉱物は,性状・構造の精妙さから多くの研究者の興味を刺激してきた.最近では,生体鉱化作用のメカニズムを解明し,その結果を利用して付加価値の高い人工材料を創製する工学技術へと展開させようという考え方が登場している.その技術分野は,生体模倣と呼ばれている.生体模倣技術の目指すところは,常温・常圧中において形状・結晶相・方位を制御した無機材料・無機/有機複合材料を合成することにある.本稿では,生体鉱物の微構造がいかに制御されているかを解明する試みについて,筆者らの研究を中心に紹介する.
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