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マテリアル インテグレーション 2006年1月号

マテリアル インテグレーション 2006年1月号

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マテリアル インテグレーション 2006年1月号
特集 希土類の魔力-形態自由自在-

巻頭言
大阪大学大学院工学研究科教授 今中 信人
希土類とは“ランタノイド系列にSc, Yを加えた17元素群の総称”であり,以前は稀土類の『稀(まれ)』の文字を記していたが,現在では希望の『希』を用いている.これはまさしく,現代社会において希土類がより一層魅力的な元素群となってきていることを如実にあらわしている.2004年秋には古都奈良において希土類国際会議も開催され,中でもその形態をいかに上手に操るか(制御するか)が富に重要となってきていることが注目の的であった.
ここでは同国際会議のプロシーディングの編者,並びに,日本の希土類分野の第一線でご活躍の方々を中心に特集号【希土類の魔力-形態自由自在-】を組んだ.ここで副題「形態自由自在」としているのは,より一層形態を能動的に操れることの意を込めている.
ぜひこの機会に{\bf 希土類ワールドへのプロローグ}を味わって頂ければ幸いである.

希土類イオンが伝導する固体電解質 - 脇役から主役へ -
■著者
大阪大学大学院工学研究科 助手 田村 真治 他

■要約
希土類イオンに限らず3価イオンは高価数イオンであるため,周囲のイオンとの間の静電的な相互作用が強く,固体内でのイオン伝導は困難であると考えられてきたが,近年,母体結晶を厳選することで,希土類イオン伝導体が開発された.これにより,希土類イオンは固体電解質分野において,名脇役だけでなく主役をも務めることになった.本稿では,希土類が主役となる例を紹介する.


触媒材料
■著者
名古屋工業大学 小澤 正邦

■要約
触媒作用は反応分子との電子的な相互作用による化学過程でありその選択性と速度論的促進が目的となる.触媒の形態が影響する場合,その本質は電子軌道の形態的特質,分布や密度であるが,それらが明瞭な触媒設計や実用化への先導や材料設計の確立にいたるのは意外と難しい.希土類元素の特徴であるf電子やそれに影響された内部軌道の特徴を生かした触媒作用の指針の確立自身もまだ研究途上にあると思われ,それが多くの可能性を秘めていると同時に,実用的な方法上の理解も容易でないと想像されるところである.したがって,本稿では,触媒材料の観点から,希土類の形態制御性とその応用例について述べることとする.


ソルボサーマル反応による希土類酸化物の合成
■著者
京都大学大学院 工学研究科物質エネルギー化学専攻 教授 井上 正志 他

■要約
近年,超微粒子酸化物の合成法は著しく進歩しており,液相合成だけに限ってもミセルの利用,有機物の利用,超音波の利用など数多くの合成法が開発されている.このような新規合成法で得られる微結晶は,常法で合成した結晶とは異なった物性をもつことが期待できる.このような新たな物性は,結晶中の欠陥構造,一次粒子の径やその分布,一次粒子の形態,表面電荷やそれにより引き起こされる粒子の凝集状態の変化によりもたらされる.


希土類合金の魔力-機能性自由自在-
■著者
新エネルギー・産業技術総合開発機構 研究員 佐藤 正志 他

■要約
本稿では, 希土類-遷移系金属間化合物に焦点を当て, 代表的な磁性材料のほか, 燃料電池はじめ水素利用技術に関連して注目されている希土類系水素吸蔵合金について, 最新の知見も含めながら解説する.


希土類磁性の基礎
■著者
日本大学 理工学部 物理学科 教授 高野 良紀

■要約
我が国の物理学は磁性研究から発展したといっても過言ではなく,そのため,多くの研究者が輩出しており,磁性については優れた成書が数多く出版されている.詳細についてはそれらを参考にして欲しい.また,実際の希土類金属や希土類-遷移金属化合物の磁性や希土類磁石についても良い解説があるのでそれらを参照されたい.


高い磁力を持つ等方性希土類ボンド磁石
■著者
(株)東芝 研究開発センター 環境技術ラボラトリー 主任研究員 桜田 新哉 他

■要約
希土類ボンド磁石は,コンピュータに代表されるOA機器用モータ,オーディオ機器用モータ,携帯電話などの通信機器用モータ等に多用されている.希土類ボンド磁石に用いられている粉末のほとんどは超急冷法によって製造される等方性のネオジウム-鉄-ホウ素系粉末である.この粉末を用いて磁力40〜96kJ/m3のボンド磁石が量産されている.


未来を照らす希土類蛍光体
■著者
新潟大学大学院 自然科学研究科 助教授 戸田 健司 他

■要約
人間は闇を恐れ,それを照らすあかりとしてたいまつのような燃焼を基本とする熱い光を利用してきた.不安定な,ともし火や油を利用するランプによる燃焼光源から電気エネルギーを利用する白熱電球および蛍光灯への照明の転換は,人間の生活を大きく変えてきた.現代においては種々の発光材料が,照明に限らず,ディスプレイや情報,医療などの幅広い分野で用いられている.その中でも希土類蛍光体は重要な位置を占めている.本稿では,希土類蛍光体の応用と将来について述べる.


長残光性蛍光体の特性及び応用
■著者
日亜化学工業株式会社 村崎 嘉典 他

■要約
長残光蛍光体は夜光塗料の一種である.従来夜光塗料といわれていた物質には自発光塗料と蓄光塗料(長残光蛍光体)の2種がある.自発光塗料は,その励起エネルギーを外部から求めず,それ自体に含まれる放射性物質の炭素14C,トリチウム3H,プロメチウム147Pm,及びラジウム226Raなどの放射エネルギーによって,常時一定の発光を呈するものである.蓄光塗料は太陽光や蛍光灯等の外部からの光エネルギーにより励起され,励起停止後に暫時光エネルギーとして放出する物質であり,光の吸収→発光→吸収→発光を何回でも反復する性質を持っている.本稿では,近年に開発された長残光蛍光体の特性とその応用について述べる.


不斉合成で活躍するキラル希土類錯体触媒
■著者
九州大学 先導物質化学研究所 教授 稲永 純二

■要約
ここでは,精密有機合成の中でも厳密なキラリティー制御が要求される不斉合成の分野で活躍する高性能希土類錯体触媒の魔力について述べる.


希土類ポリ酸:蛍光体の分子モデルからスーパーナノリングクラスターへの展開
■著者
東京工業大学資源化学研究所 無機機能化学部門 教授 山瀬 利博

■要約
得られた知見を基礎に,直径が2.2-3.5nmサイズのナノクラウン,ナノリング希土類ポリ酸やナノチューブ,ナノチェーンポリ酸が希土類金属イオンの存在下で得られることを見出し,希土類ポリ酸を基盤とするナノマテリアル材料の分子設計へと展開できることが明らかになった.


セリウムを用いた人工制限酵素が拓くニューバイオテクノロジー触媒材料
■著者
東京大学先端科学技術研究センター 教授 小宮山 真 他

■要約
本稿では,そんな夢を実現すべく筆者らが開発したARCUTを中心に,セリウムのバイオテクノロジー分野への応用について紹介する.


連載
第2次世界大戦後の日本のセラミックス科学の発達に友好や親善に尽力した世界の大学教授 (21) アメリカUniversity of Washington, SeattleとPrinceton大学で,日本からの留学生,研究者達と熱心に付合い指導したIlhan A. Aksay教授 Aksay…悪妻という日本語の意味も知っていた教授
■著者
宗宮 重行
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