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マテリアル インテグレーション 2005年7月号

マテリアル インテグレーション 2005年7月号

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マテリアル インテグレーション 2005年7月号
特集 プロトン

巻頭言
特集によせて
大阪大学大学院 工学研究科教授 今中 信人
イオン伝導性固体(固体電解質)の中でもプロトンは中核をなすイオン種の一つである.本来,プロトンとは水素イオンを意味し,イオン種のなかでも最も小さいイオンであり,そのことが,プロトン伝導体のユニークさにも大きく寄与している.プロトン伝導体の中でも著名な材料としてセレート系があげられる.この系は本特集号で巻頭言をお願いした岩原弘育先生(名古屋大学名誉教授)のパイオニア研究である.そのプロトン伝導体が近年,燃料電池の絡みもあって富に注目を集めている.改めて研究の流れの大きな波を感じるのは我々だけであろうか?
ここではプロトン伝導体でも特に『材料』の観点から特集を組んだ.将来の指針の参考になれば,幸いである.

プロトン伝導性セラミックスに期待するもの
■著者
名古屋大学 名誉教授 岩原 弘育

■要約
プロトン伝導性固体電解質に興味をもつ研究者や技術者が増えてきた.本特集では、それぞれの分野で現在活躍中の第一人者が各種プロトン伝導体について易しく解説している.ここで述べられているプロトン伝導体はすべて広義の酸化物系セラミックスであって,応用面から今後の展開が大いに期待されるものである.何が期待できるのか?長年この分野に携わって来た筆者の思いの一端を随想風に述べてみる.


単純ペロブスカイト型のプロトン導電体
■著者
九州大学大学院工学研究院 応用化学部門 助教授 松本 広重

■要約
著者は,主に応用の側面から,この高温型プロトン導電体を10年近く扱ってきた.本稿では,多少の見当違いを恐れず,著者がこれまで高温型プロトン導電体の研究に携わる中で得たこの材料に関することについて述べるつもりである.読者が少しでも高温型プロトン導電体を身近に感じ,本稿が新しい材料や応用への着想の役に立てば幸いである.


非化学量論ペロブスカイト型のプロトン伝導体
■著者
大阪大学大学院 工学研究科応用化学専攻 助手 田村 真治 他

■要約
本稿では,そのタイトルの通り,非化学量論組成を持つペロブスカイト型酸化物として複合ペロブスカイトおよび層状ペロブスカイト型酸化物のプロトン伝導について概説する.ここでの「非化学量論」という言葉は,基本化学組成における構造とは異なる構造を持つ場合のことを指し,酸素欠陥が存在しているような場合でも基本化学組成構造を持つ場合は,単純ペロブスカイトとする.


ペロブスカイト型以外のプロトン伝導体に関して
■著者
名古屋大学エコトピア科学研究所 ナノマテリアル科学研究部門 助手 志村 哲生

■要約
本章では,ペロブスカイト型ではない構造の酸化物の高温プロトン伝導性について紹介する.現在までのプロトン伝導に関する報告数は,ペロブスカイト型構造のものに比べると少なく,また応用段階の研究も少ないが,高温での酸化物におけるプロトン伝導現象の理解のためには,種々の構造の酸化物における物性の検討は意義が大きいと考えられる.


希土類リン酸塩を母体とした高温型プロトン伝導体
■著者
京都大学 人間・環境学研究科 助手 雨澤 浩史

■要約
本稿では,希土類リン酸塩を母体とした高温型プロトン伝導体について紹介した.希土類リン酸塩は,化学的に安定な化合物であり,かつ良好なプロトン伝導性を示すことを述べた.


ペロブスカイト型プロトン導電体の分光学的解析
■著者
東京理科大学 理学部 助手 樋口 透 他

■要約
著者らは,高輝度放射光から発生する軟X線を用いた光電子分光・吸収分光により,他の波長領域では得ることのできない独自の知見を得ることを目的として,ペロブスカイト型プロトン導電体の伝導機構を研究している.ここでは,SrTiO3を中心に取り扱い,キャリアーやプロトンを導入した時の軟X線分光による電子構造の研究例を紹介する.


計算機シミュレーションで見るペロブスカイト型酸化物中のプロトン伝導メカニズム
■著者
熊本大学理学部 理学科 助教授 下條 冬樹

■要約
本稿では,スカンジウム (Sc) をドープしたチタン酸ストロンチウム (SrTiO3) 中のプロトンを対象として行った第一原理シミュレーションの結果を紹介し,(1) プロトンが安定に存在し得る位置,(2) プロトンの移動経路,(3) OHストレッチング運動の振動数やOH間距離の位置依存性,さらに,(4) これらの性質に対するドーパントや酸素欠陥の影響などについて解説する.


無機系をベースとするプロトン伝導性ゲル材料の開発
■著者
大阪府立大学大学院工学研究科 助教授 忠永 清治 他

■要約
本稿では,ゾル--ゲル法を用いたプロトン伝導体に関する筆者らの研究成果を中心に,無機系をベースとするプロトン伝導性ゲル材料を紹介する.特に,無機系をベースとすることの特徴を活かした,100℃ 以上で高いプロトン伝導性を示すホスホシリケートゲルと,これを電解質として用いた中温作動型燃料電池について詳しく説明する.


連載
近代日本のセラミックス産業と科学・技術の発展に尽力した偉人,怪人,異能,努力の人々(20)化学熱力学,熱分析の研究に一生を尽力され,日本測定学会の創設や,国際会議にも組織委員長として開催され,また国際雑誌の編集委員長としても国際的に活躍され,さらに学生に対する包容力,豊かさ,学問の厳しさもあり,大学行政の要職も努められた日本学士院会員,大阪大学名誉教授,関西学院大学教授の関集三博士
■著者
宗宮 重行



連載
第2次世界大戦後の日本のセラミックス科学の発達に友好や親善に尽力した世界の大学教授 (17) 自分の庭に日本式庭園を設置し,池に鯉を飼い,親日家で東京工業大学名誉博士第1号受領者であり,和魂洋才を理解するドイツの材料科学者にして教育者,研究管理者,行政者として,人の世話,指導をよくし,国際的に活動したドイツStuttgartのMax Planck研究所粉末冶金研究所長,University of Stuttgart,Gunter Petzow教授
■著者
宗宮 重行
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