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マテリアル インテグレーション 2003年3月号

マテリアル インテグレーション 2003年3月号

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マテリアル インテグレーション 2003年3月号
特集 セラミックスインテグレーション

セラミックスインテグレーションとは?
■著者
物質・材料研究機構 物質研究所 電子セラミックスグループ ディレクター 羽田 肇 他

■要約
本研究がめざすセラミックスインテグレーションとは,図1 に示したようにセラミックスを構成する要素結合に依って生じた諸性質をさらに統合化し,“ 高いレベルにある性質≡ 制御された複雑性”を引き出すことである.セラミックスインテグレーション化するに当たっては,本質的にヘテロな構造・組成・性質を構築することが不可欠となっている.これまでヘテロな材料を得る方法論では,お互いの整合性を重要視し,結合に際し不具合となる現象を回避することを主眼としたため,制限・限定された性質しか得られなかった.一方,本課題では,「フロンティアセラミックス」プロジェクトの成果を活かし物質間の不整合から生じる性質を積極的に利用し,新たな材料を探索していくという,全く新しい材料研究の視点と位置付けられる.本プロジェクトは,平成14 年度で前期三カ年を終了し,評価をいただいたが,その結果は本稿が印刷される頃には,公表されている予定である.


酸化亜鉛薄膜に及ぼす成膜雰囲気の影響
■著者
物質・材料研究機構 物質研究所 電子セラミックスグループ 研究員 安達 裕

■要約
現在,我々のグループでは,透明導電性酸化物としてZnO を選択し,変調ドーピングによる低抵抗化を試みている.ZnO 系変調構造を作製するにはまず,バンドギャップとキャリア濃度が制御されたキャリア供給層を作製しなければならない.バンドギャップ制御に関しては,ZnO のZn サイトをMg で置換することにより可能であることが報告されている.我々は(Mg, Zn)O にドーパントとしてAl を添加した薄膜の合成を行い,その電気特性および光学特性評価を行なった.その結果,(Al,Mg,Zn)O 薄膜では,バンドギャップとキャリア濃度が同時に制御されていることを確認した.変調構造作製のための基礎的検討のひとつとして,PLD 法によるZnO 薄膜作製時に強酸化源を用いた場合,酸化雰囲気の違いが結晶性および電気特性にどの程度影響を与えるかを検討してきた.本報ではそれらの結果について報告する.


自己組織化膜テンプレートを用いた酸化物セラミックスのパターン製膜
■著者
物質・材料研究機構 物質研究所 主任研究員 齋藤 紀子 他

■要約
筆者らは,パターン化した自己組織化膜の表面局所場をテンプレートに用いて,室温付近でのセラミックスのパターン析出技術の開発に取り組んでいる.SAM により基板表面を任意の官能基で修飾することが可能であり,さらに任意の箇所への紫外線照射等によりOH 基へ変性させることによってパターン化SAMが得られる.無機固体の析出速度はSAM テンプレートの表面官能基によって異なるので,反応性の差を利用して任意の部分に選択的にセラミックス膜を成長させることが可能である.セラミックス膜の合成プロセスは,各材料によって様々な方法が提案されており,その化学合成ルートは多様である.各種セラミックス材料のパターン析出のためには,それぞれの材料に適したSAM テンプレートと薄膜作成手法を見出していくことが必要である.本稿では筆者らの研究グループにおける電子セラミックスのパターン析出の研究例を紹介したい.


フォトニック結晶及び高配向メソポーラス薄膜の合成と特性
■著者
東京大学 工学系研究科 マテリアル工学専攻 教授 桑原 誠 他

■要約
新機能材料の開発ということでは,これまで高温超伝導体物質の発見に触発される形で新物質の探索が主として行われてきたが,今後,形状・形態の効果および素子のインテグレーションによる新機能物性創出の観点からの研究が重要になってくると考えられる.Si 半導体技術では,既にMEMS をベースとしてまさにその方向に向けた展開がなされようとしており,セラミックス技術においても構造誘起型新機能物性の創出を目指した系統的かつ集中的な研究の遂行が望まれる.ここでは,我々がセラミックスインテグレーション基盤技術における基礎研究の一環として進めている,ゾル-ゲル法を用いた酸化物系フォトニック結晶及び高配向メソポーラス薄膜の合成と特性に関する研究内容について紹介する.


遠心成形技術による傾斜機能材料創製
■著者
住友特殊金属(株) 技術開発本部 専門部長 中村 恭之

■要約
今回の実験は科学技術調査費としてセラミックスインテグレーションの創製プロジェクトによって行ったがセラミックスと金属という異材質の接合に組成傾斜したバッファーレーアを用いることの可能性を検証した.組成傾斜は粉の選定と熱処理条件によりかなりの自由度で創製できると共に接合後の繰返し応力向上への効果を期待している.


機能性薄膜におけるバッファーレイヤの役割
■著者
東京工業大学大学院 理工学研究科 材料工学専攻 助教授 篠崎 和夫 他

■要約
今日の半導体プロセスはSi やGaAs 等の単結晶基板上に様々な薄膜を積層する技術を中核として実現されている.半導体分野では基板に対して特定の方位関係を持ったエピタキシャル薄膜,ランダムに配向した多結晶薄膜,あるいは非晶質薄膜が用途に応じて使い分けられている.例えば,非晶質SiO2 は高い電気絶縁性を有することから非常に優れたゲート絶縁膜として半導体黎明期から今日まで使われ続けている.半導性や絶縁性の多結晶Si 薄膜はSi 基板と相性のよい配線材料や絶縁材料等としてやはり長く使われている.一方,エピタキシャル薄膜では基板による強い拘束のもとで,基板の結晶的な特徴を継承し,さらに組成や構造を変調した単結晶に匹敵する優れた薄膜を形成するという困難な技術の確立により,半導体レーザをはじめとした新たな機能が実現されている.本稿では,エピタキシャル薄膜の成長を行う際に基板と薄膜の間に導入されるバッファーレイヤについて概観し,Si 半導体薄膜に比べて複雑で多様なエピタキシャル・セラミック薄膜を実現するためのバッファーレイヤについて,いくつかの実例を通して紹介する.


TEMを用いた新しい薄膜キャラクタリゼーション技術
■著者
(財)ファインセラミックスセンター 山本 和生 他

■要約
透過電子顕微鏡(TEM) を用いた構造解析では,結晶格子を原子レベルで観察でき,また局所組成や局所電子状態も分析できるようになった.このような方法により材料の解析では極限に近づいて来たが,材料の機能を観察することは困難である.電子線ホログラフィはTEM 装置中で局所電界分布および局所磁束分布を観察することができるので,材料の機能特性を直接知る手段として有望である.ここでは,電子線ホログラフィの原理および最近我々が行った磁気デバイスの観察について紹介する.


傾斜機能圧電セラミックスと超音波トランスデューサへの応用
■著者
早稲田大学 理工学部総合研究センター 客員教授 高橋 貞行 他

■要約
著者らはこれらの研究成果を踏まえて,傾斜設計に対する自由度が比較的大きく汎用性に富んだ化学的組成を傾斜させる方法に着目し,この方法で超音波トランスデューサの短パルス広帯域化を図る研究を行ってきたので以下にその概要を述べる.


セラミックスインテグレーション技術を用いた電源用圧電トランス
■著者
日本電気(株) 機能材料研究所 越智 篤 他

■要約
圧電トランスは圧電セラミックス材料の低損出・高出力化の改善とともにその応用として昭和40 年代に提案され,TV 用の高電圧電源などに検討されたが実用化には至らなかった.その後,電子機器の高性能化,高密度化の流れに対応して高効率な新しい電源を目指した厚み縦構造の圧電トランスが井上らにより検討された.一方,液晶ディスプレイの急速な普及に伴って,高電圧発生用のローゼンタイプが開発され圧電トランスが初めて実用化された.ローゼンタイプの圧電トランスを用いたインバータ電源は従来の電磁方式と比べて小型化,薄型化,狭幅化に優れており,ノートPC や液晶画面付ビデオカメラなどに普及が進んでいる.一方,ローゼンタイプは様々な改善構造が提案されたものの最大出力は5W 程度に留まっており,最近では国内だけでなく,米国,ヨーロッパ,中国などでも新たなデバイス構造による検討が始まっている.これに対して,筆者らは一般電源用の圧電トランス開発を目指して早期に輪郭拡がり構造の圧電トランスを提案し,その出力向上を目指してきた.本稿ではその開発について述べる.


マイクロ波・ミリ波セラミックスインテグレーション
■著者
太陽誘電(株) WINグループ 先端材料デバイス部 藤本 正之 他

■要約
我々は,チョークコイルやバイパスコンデンサなどMMIC では設計・形成することが不可能であると考えられていた受動部品を,酸化物薄膜材料開発技術,プロセス設計技術をベースとしてMMIC 上に形成することに成功し,マイクロ波・ミリ波RF 回路の画期的なダウンサイジングと高性能化を実現する可能性を示すことが出来た.本稿では開発された薄膜材料と試作された高周波モジュールの特徴を概説する.


連載
近代日本のセラミックスの発展に尽力した偉人,怪人,異能,努力の人々(第5回)大倉和親,百木三郎,江副孫右衛門,鮎川武雄,杉原周一,秋吉致などの業績(2)
■著者
宗宮 重行

■要約
第3 回に森村市左衛門,森村豊と森村組設立,第4回に大倉孫兵衛と大倉和親,日本陶器社の設立,今回は東洋陶器社について記述する.


連載
タイ便り (その12) ミスター・プラプン
■著者
Chulalongkorn Univ.Faculty of Science 教授 和田 重孝
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