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マテリアル インテグレーション 2001年7月号

マテリアル インテグレーション 2001年7月号

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マテリアル インテグレーション 2001年7月号
特集 ナイトライドセラミックスの新展開(2)

巻頭言
「材料工学」であると考えられます.この中で,「材料工学」は,我々人類の緊急課題である環境及びエネルギー問題の解決に新しい材料の開発が不可欠であることを考えると,現在の日本の風潮とは異なり,今後は益々その重要性を増すと予測されます.また,新産業の育成においても新しい構造・機能を有する材料の開発が必須です.しかし,環境・エネルギー問題の解決に繋がる,又は新産業の育成に繋がる材料は,当然のこととして,新しいアイデア・コンセプトに基ずくもので,他を差別化することの出来る材料であることが必要なことは言うまでもありません.この様な要求に応えることの出来る材料系の1つとして,私たちは,インターマテリアル(多機能調和型材料)をイメージしています.
本特集号では,窒化物(ナイトライド)を取り上げることにしました.対象とする材料は窒化ケイ素及び遷移金属系窒化物セラミックス等です.先ず,窒化ケイ素をインターマテリアル化するための新しい材料設計を取り上げました.これは粒界の組成/構造の特異構造制御により新機能(イオン伝導性)を付与すると言う,全く新しい材料設計に関する研究成果の紹介です.次に,窒化物セラミックスの中で,多岐にわたる分野で興味を持たれており,今後の更なる進展が期待されている窒化ケイ素と窒化ホウ素を取り上げ,新しい焼結技術と新規応用分野に関して執筆いただいた.
これらの窒化物セラミックスに加え,遷移金属系窒化物セラミックスの最近の進展を取り上げました.これらの窒化物セラミックスは,物理・化学的に優れた特性を示す材料であり,将来インターマテリアルの重要な柱となると予想されるからです.
本特集号の企画者は,ここに収録された新しい材料,特異機能を有する材料が現在人類が直面している環境保全問題やエネルギー問題の解決に威力を発揮するとともに,新規産業の育成に繋がると確信しています.読者諸兄の,忌憚の無い意見を賜れば幸いです.

マテリアル インテグレーション 2001年7月号
INTER MATERIAL ナイトライドセラミックスの新展開(2)

新しい窒化ケイ素の材料設計 -粒界制御による新機能付与-
■著者
(独)産業技術総合研究所 つくば中央第二事務所 川岡 広和、大阪大学産業科学研究所 教授 新原 皓一

■要約
電気絶縁性のセラミックスマトリックスに電気伝導性の粒子を分散した場合,その複合体の電気伝導率,または電気抵抗率は一般的にパーコレーション理論に従って変化するが,実際に充分な電気伝導性を与えるためには数十体積パーセント以上の第二相粒子の添加が必要となり,マトリックス材料の本来有していた機械的特性や物理的特性は大きく変化し,時には損なわれてしまう.筆者らは「粒子分散」を用いず「粒界相制御」という新規な手法により電気絶縁性構造材料に電気伝導性を付与することを試み,その結果圧倒的に少量の添加による電気伝導性の発現に成功した.本稿ではその新規なアプローチ法について概説し,Si3 N4 系のみでなくMgO系に関する研究内容についても紹介する.


窒化ケイ素セラミックスの大気炉燒結
■著者
Chulalongkorn Univ.Faculty of Science 教授 和田 重孝

■要約
窒化ケイ素の燒結に関する基礎的な研究を行ない,その結果,窒化ケイ素は大気炉で燒結できるという確信を持った.実験してみたところ,予想通りの結果が得られた.それで,特許を出願し,学術的な内容については速報の論文にまとめ,また,学会で口頭発表も行なった.ここでは,学術的な正確さは犠牲にして,どうしてこのような研究をしたのか,窒化ケイ素セラミックスがなぜ大気炉で燒結できるのかを説明する.また,その工業的な意義について,私の考えを述べたい.この研究は,その可能性を示したが,燒結のエンジニアリングというか,工業的な価値については,今後,大いに検討が必要なので,その点についての私見もまとめた.


CBN焼結体の性質とその応用
■著者
住友電気工業(株) ダイヤ製品(事)開発部 課長 後籐 光宏

■要約
CBNとダイヤモンドの最大の違いはダイヤモンドが天然に存在する物質でるのに対して,CBNは人工的に作られる物質であるということであろう.このCBNは1957年にR. H. WentrofがJ of Chemical Physics で報告したのが最初であり,その後,粉末や焼結体の開発は日米を中心に行われ,工業製品としてその用途が拡大してきた.本報では,特に近年切削工具として急速にその需要が増加してきているCBNの焼結体の特性やその用途について記述する.


アルミニウム粉末の直接窒化反応によるAlNの合成
■著者
東京大学先端科学技術センター 客員助教授 近藤 勝義

■要約
素地-粒子間界面での整合性向上の観点から出発原料のAl粉末を窒素ガス(N2 )中で加熱することで原料粉末から直接,AlNの合成反応を進行させてAl/AlN複合材料を創製する,いわゆる直接窒化反応プロセスの開発を行ない,固相温度域でのAlNの反応合成を成功するに至った.ここではマグネシウムによる還元反応を利用したAl粉末の直接窒化挙動についてその概要を説明すると共に,得られたAl/AlN複合焼結材料の特性について紹介する.


遷移金属ナイトライド粉末の製法と特性<
■著者
日本新金属株式会社 技術開発部 森田 進

■要約
ナイトライド粉末の製法に関する研究は比較的古く,金属粉や化合物を出発とした種々の合成方法が報告されているが,粉末の純度,粒形,粒度等の物性が目的のセラッミックス,複合材等の特性に与える影響は大きく,また粉体の物性コントロールは容易でないのが現状である.本稿では,TiN粉をはじめ,遷移金属ナイトライド粉末の工業的な合成方法と粉末の特性について具体例を挙げて紹介する.


窒化クロムセラミックスバルク体の焼結と性質
■著者
(財)応用化学研究所 第一研究室 桑原 秀行

■要約
クロムの窒化は速度が遅いので,著者らは純粋な窒化クロム(Cr2 N,CrN)ではなく,(Cr2 N,CrN)-Fe粉末を作製してこれを焼結してバルク状のクロムナイトライドセラミックスを作製して,その性質を検討した結果,優れた諸性質を得た.Cr 2 Nを予備成形体の作製をせず,また焼結助剤を添加せずに,即ち,乾燥粉末のまま黒鉛型に充填して焼結体を作製し,その機械的性質を評価した.更に,より共有結合性の強いCrNについても同様に焼結して評価を行った.これらについて以下に紹介する.


窒化チタンセラミックバルク体の作製とその組織
■著者
(財)応用化学研究所 第一研究室 桑原 秀行

■要約
窒化物系セラミックスの中でTiNは,高硬度,耐摩耗性,耐食性,高比強度など優れた性質を有し,切削工具・工具・金型類の高性能化・長寿命化のために,TiN による表面被覆が工業化されている.また,金色の色調を示し審美性に優れるために食器類などに被覆して装飾用としても利用されている.これに対して,TiNのバルク化は研究室レベルで試みがなされ,特に,一切の助剤を用いることなくバルク化の検討もなされている.ここでは,窒化チタン粉末のみによる焼結からバルク体の窒化チタンセラミックスの作製方法やいくつかの性質について概説することにする.


TiNコーティングによる高温水素遮断
■著者
京都大学大学院エネルギー科学研究所 エネルギー基礎科学専攻 錦織 徳次郎、伊藤 靖彦

■要約
筆者らはTiNをモデルケースに選び,これまで,溶融塩電解窒化法,ガス窒化法,イオンプレーティング法により作成したTiNコーティングについて,電気化学と粒子線分析法を組み合わせた新たな研究方法により,高温水素遮断能とその窒素濃度,膜厚,構造・形態への依存性等の観点から研究を進めている.


モリブデンナイトライド
■著者
岡山大学環境理工学部 環境物質工学科 長江 正寛

■要約
窒化モリブデンはアンモニアガスや(窒素+水素)混合ガスとの直接反応などによって生成する侵入型の金属窒化物である. しかしながら, 取扱いが容易な窒素ガス中では高圧下を除きほとんど窒化物を形成しないため, モリブデン窒化物に関する研究例はTiNなどの他の遷移金属窒化物に比べると少なく, 未だに不明な点が多く残っている.本稿では, これまで耐食材料として殆んど注目されることがなかったモリブデン窒化物について, 沸騰硫酸に対する耐食性を検討した結果を紹介する.


連載
歩みだした独立法人 -オリジナル研究成果とその産業化のための産学官連携-
■著者
(独)産業技術総合研究所関西センター 所長代理 中村 治

■要約
平成7年に科学技術基本法が制定され,そしてその精神を実行に移すべき方策として科学技術基本計画が提案されたのはわずか5年前の平成8年であった.その間,17兆円の予算がつぎ込まれ,わが国が科学技術創造立国として生業を確立するためのさまざまな制度・環境の整備がなされてきた.この5年間を振り返り,これら施策により,国民の生活向上に科学技術の成果がどう反映されたかを問うには,事の性格上,なお時期早尚であるが,おおむね経済・社会との関わりを大きく保ち,また,この期間における成果は国際社会においても一定の進展を示していると著者は思っている.これをはずみ車に第2期科学技術基本計画を策定し,実行に移し,これによって国民の生活レベルのさらなる向上と安全の確保を願う事は当然の理といえよう.


連載
粉体粒子の複合化とセラミックス構造制御(3) -ナノコンポジットの合成と構造制御-
■著者
九州大学大学院工学研究院 応用化学部門 北條 純一

■要約
本連載の第1報では複合粒子の利用について概説し,第2報では気相反応法によるナノ複合粒子の合成について紹介した.このなかで,SiC-BN系およびSi3 N4 -BN系の複合微粒子を利用して作製したナノコンポジットが優れた耐熱衝撃性を示すことを見いだした.本稿では,SiC-BN系およびSi3 N4 -BN系を対象として,気相反応法で合成した複合微粒子の構造,焼結体のナノ複合構造制御,さらにはミクロ/ナノ複合構造制御により耐熱衝撃性と破壊靱性の改善を行った一連のストーリーを解説する.


連載特集
セラミックス開発の新兵器:TG-MS[24] -TG-MSのお友達?:酸化レニウム-
■著者
寺井ガラス技術事務所 寺井 良平

■要約
今回のタイトルは「酸化レニウム」である.本稿では,著者が研究室の学生とともに酸化レニウムと出会った経緯を述べるためには,最初に透明導電膜の話から始める必要がある.「TG-MS」と「酸化レニウム」の関係を既に御存知の方あるいは結論をお急ぎの方は,最後のところだけを斜め読みすれば良いのだが,これは推理小説を後ろから読むような行為なので,著者としてはお奨めしたくない次第である.さて・・・
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