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マテリアル インテグレーション 2001年5月号

マテリアル インテグレーション 2001年5月号

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特集 ナノ・ケモテクノロジーへの招待-奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科-

マテリアル インテグレーション 2001年5月号
MATERIALS INTEGRATION ナノ・ケモテクノロジーへの招待-奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科-

ナノマテリアルズサイエンス-波動関数の空間制御と新機能性-
■著者
物質創成科学研究科 量子物性科学講座 金光義彦 櫛田孝司

■要約
最近の物質科学の研究の特色は,物理学,化学,生物学などの従来の学問の枠を越えて研究が進展し,さらにテクノロジーの進歩と基礎研究がうまく融合して新しい分野を切り開いていることである.その代表的な分野として,メゾスコッピク系の研究をあげることができる.そこでは小さなサイズの構造をもつ物質を創り出し,新しい機能性デバイスを作製しようとしている我々の研究グループでは,いろいろな物質のサイズや次元を変化させたときの物性の変化を量子科学的な立場から理解することを目的として研究を推進している.現在行っている研究のいくつかを以下に簡単に紹介する.


余った結合の手で何が出来る-新機能物質の中の原子と電子の動きを3次元的に見る-
■著者
物質創成科学研究科 凝縮系物性学講座 大門寛 服部賢 武田さくら 松井文彦

■要約
固体表面では結合の手が余っているために,特殊な化合物(表面新物質)ができたり,特殊な反応が起きたり(触媒反応),固体内部には無い物理現象が起きる.例えば,bcc構造を持つ強磁性体である鉄(Fe)が,表面数層ではfccになったり非磁性になったりする.本研究室では,このような固体表面人工新物質を創成し,その新規なメカニズムを原子や電子の動きから基礎的に解明して,新物質創成の指針を得ることを目的としている.原子や電子の動きを見るには,表面に電子や光を入射して,出てくる電子のエネルギー分布や放出角度分布を詳しく測定することで解析できる.本研究室では,そのような角度分布の測定を世界唯一の「二次元表示型光電子分光装置」を使用して詳しく研究している.


光で超伝導体を作る,磁石を作る
■著者
物質創成科学研究科 複雑系解析学講座 高橋総

■要約
光は物質の性質を測定する有功な手段であり,今後ともそうあり続けるであろう.しかし,最近になって,物質の性質を変える,コントロールする手段として光を捉え直そうとういう考え方が広まりつつある.詳細は本文で述べるが,我々はこのような考えのもとで,低次元強相関電子系の多光子励起状態の理論的研究を行っている.本稿において,その背景と我々の最近の研究の一部を紹介したいと思う.


ポリペプチド超分子デンバイスの構築
■著者
物質創成科学研究科 高分子創成科学講座 今西幸男

■要約
タンパク質もポリペプチドもどんな時にでもα-らせん構造を取るというのではなく,条件によっては伸長鎖構造(β-構造)や不規則構造を取る場合がある.非天然α-アミノ酸であるα-アミノイソ酪酸(Aib)をL型α-アミノ酸と組み合わせたポリペプチドにおいては,Aibが分子間水素結合の形成を抑制して,ポリペプチドの不規則構造集合体の形成を阻止し,一方では分子内水素結合の形成を促進してα-ヘリックス構造を安定化する働きをもつことを筆者らが見いだしたのは1996年.この発見がそれ以降のポリペプチド超分子工学の展開を導くことになるが,それまでにα-らせん状ポリペプチドを配向させながら集合させて,双極性超分子集合体を作る方法を確立する必要があった.本稿ではその点について述べる.


強誘電体薄膜のナノ構造とそのメゾスコピックな物性
■著者
物質創成科学研究科 光機能素子科学講座 布下正宏 太田淳 徳田崇

■要約
最近の物質科学の研究の特色は,物理学,化学,生物学などの従来の学問の枠を越えて研究が進展し,さらにテクノロジーの進インターネットの爆発的普及による予想を遥かに上回る情報量の増大によって,マイクロ波とフォトニックスの融合が急速に進み,各情報機能デバイスに対してますます高性能化(超高速化,大容量化,低電圧・省力化)が求められている.しかしそれらのデバイスの微細化や高密度集積化には物理的かつ経済的な限界が目の前に迫っており,次世代デバイスの実現に向けたブレイクスルーのためには新しい機能材料・物質の創成と超先端ナノテクノロジーの開発が必須となっている.最近の先端デバイスの超微細化,極薄膜化に伴って,これらの強誘電体特有の分域(ドメイン),微結晶粒(グレイン),化学等量(ストイキオメトリー)からのずれなどのナノ構造,メゾスコピック物性がその機能やデバイス特性に及ぼす影響が顕著になり,逆にそのナノ構造の制御によって,例えば高温超伝導のように量子効果などの活用で時にはそのデバイス特性を大きく飛躍させることも期待できる.しかし,強誘電体薄膜のナノ構造とメゾスコピック物性との関係に基づく新しいデバイス機能や特性の発現機構については未だ明らかにされていない.この小論文では,ペロブスカイト系誘電体を取り上げて,その極薄膜のナノ構造におけるメゾスコピック物性の観点から最近の研究開発の状況と今後のデバイス応用上の課題や問題点を紹介する.


上部金属電極の自己整合パターニングを可能とする強誘電体キャパシタ作製プロセス
■著者
物質創成科学研究科 演算・記憶素子科学講座 岡村総一郎 塩崎 忠

■要約
最近の物質科学の研究の特色は,物理学,化学,生物学などの従来の学問の枠を越えて研究が進展し,さらにテクノロジーの進半導体集積回路の高集積化はとどまるところを知らず,現在では数百万個のトランジスタが1チップ上に集積されるようになっている.これに伴い,パターンのサイズも小さくなり,現在では線幅0.13μm(130 nm)というように,ナノスケールの世界に入っている.集積回路を作製するためには,ダイオード,トランジスタ,コンデンサや抵抗といった要素部品,それらを接続するためのコンタクトホールや配線,更には端子への配線を取り出す引き出しパッドなどをシリコンウェハ上に正確に作り付けていく必要がある.我々は,不揮発性メモリーへの応用が盛んに研究されている強誘電体等の機能性複合酸化物に関し,自己整合パターニングを可能とする新規な微細加工プロセスを開発し,試行錯誤の末,良好な特性を示す強誘電体SrBi2 Ta2 O 9SBT)キャパシタの作製に成功した.ここでは,その概要と経過について紹介する.


次世代情報端末「システムオンパネル」の実現をめざして
■著者
物質創成科学研究科 微細素子科学講座 冬木隆 浦岡行治 畑山 智亮

■要約
高度情報化社会の実現をめざして急成長を続ける情報端末においてデイスプレイが果たす役割が重要であることはいうまでもない.その種類は多様化されているが,液晶デイスプレイ(Liquid Crystal Display)が現在主流である.画素ばかりでなく周辺駆動回路をも同時に作り込んだパネルが,中,小型のみならず,ノートパソコン用デイスプレイまで商品化されつつある.さらに性能が向上すれば,周辺駆動回路ばかりでなく,演算回路,記憶回路などさまざまな機能を持つ情報端末,いわゆるシステムオンパネル(System On Panel)の実現が可能となる.超高集積化,低電力化,プラスチック基板採用時のフレキシブル性など,低温ポリシリコンならではの特長を持つ付加価値の高い表示デバイスの実現に夢がふくらむ.我々は,これらの実現のために行っている解析等を本稿で述べたい.


新しい炭素骨格転位の開発と抗がん活性タキソール合成への展開
■著者
物質創成科学研究科 反応制御科学講座 森本積 堤健 垣内喜代三

■要約
複雑な炭素骨格からなる多環状化合物の効率的合成法の開発は,炭素資源の有効利用,新規有機材料の観点から,現在の有機合成化学の重要な課題の一つである.この観点から,すでにわれわれは,従来選択性の点で合成反応として評価されていなかった複雑な骨格転位に着目し,これらを制御しうる反応系の設計により新しい骨格変換法として開発するとともに,複雑な環状構造を有するセスキテルペン類を始め,多糖類の多環状化合物を効率よく合成してきた.本稿では,当研究室で開発された炭素骨格変換反応およびそれを利用したテルペノイドの全合成研究について紹介する.


人工細胞膜で創る超分子ナノデバイス
■著者
物質創成科学研究科 バイオミメテック科学講座 菊地純一

■要約
21世紀を迎えた現在,ナノ・ケモテクノロジーの開拓を目指した新しい研究の流れが起こっている.ナノ・ケモテクノロジーは原子や分子をナノメーターの世界で自在に組み立て,操る技術であり,物理学,化学,生物学など各分野の最新の知識を融合することによって初めて飛躍的な発展が期待される.ここでは,化学と生物学の学際領域であるバイオミメティック科学の立場からナノ組織体としての分子デバイスの開発について,我々の最近の研究成果を紹介したい.又,分子デバイスの基板としての新しい人工細胞膜の開発,微小な圧力変化を光情報に変換できる超薄膜の分子デバイス機能,及びシグナルの認識・変換・増幅が可能な分子ロジック回路の構築について述べる.


究極のインテリジェントマテリアル,蛋白質,を設計する
■著者
物質創成科学研究科 エネルギー変換科学講座 片岡幹雄 今元泰

■要約
ゲノム情報に従って,生体内で合成される唯一かつ最終の産物は,蛋白質である.DNAの塩基配列と蛋白質のアミノ酸配列は一対一に対応している.遺伝情報に指定されたアミノ酸配列を持つ蛋白質が細胞内で生合成されると,自発的に固有の立体構造に折りたたまれた後,固有の機能を発揮することになる.さらに,分子間の相互作用などによって脳などの高次のシステムまでもが構築される.生物の形態を維持するのも,蛋白質の働きによるところが大きい.蛋白質は,生命活動の基本的な機能分子である.さらに,蛋白質は必要なときに合成され,不要になると速やかに分解される.蛋白質は,究極のインテリジェントマテリアルと呼ぶことができる.任意の機能を持つ蛋白質を人工的に設計し,創出したいというのが我々の希望である.ゲノム創薬やテーラーメード医療などと同根の夢である.しかし,ことはそれほど簡単ではない.蛋白質設計工学の実現のために,我々は,蛋白質の立体構造構築の原理,機能発現機構の原理の理解を求めて,研究を進めている.


超分子ポリフィリン機能体-人工光合成・分子デバイス-
■著者
物質創成科学研究科 超分子集合体科学講座 小夫家芳明

■要約
生物が外界のエネルギーを取り入れて,自らのエネルギーに変換するシステムは見事な循環系を構築している.光合成植物は地球への唯一の入力エネルギーである太陽光を用いて反応中心から電子を取り出し,膜を介した電子輸送と共役させたプロトン輸送を行って化学エネルギーとして固定している.動物はこの過程の廃棄物である酸素を用い,植物光合成産物の糖を燃焼する過程によりエネルギーを獲得し,完全なサイクルを形作っている.脳・神経の信号伝達はこのようにして生成したエネルギーを用いて濃縮した金属イオンを,膜を介して大きな流束を発生させることによって行っている.本研究室では超分子科学の手法を用いて,これら生体の根幹機能を担う人工システムを全く最初から構築(Total Construction)することを目指している.本稿では光合成機能の構築に向けて光合成アンテナ,電荷分離中心と電子伝達鎖の構築とそれらの相互連結について述べる.また一方,エネルギー,電子を効率よく伝達する仕組みは,分子エレクトロニクスの分野で探し求められている魅力的なターゲットでもある.上記目標の達成と共に分子デバイスへの展開を併せて目指している.


新素材で生体組織を作る
■著者
物質創成科学研究科 生体適合性物質科学講座 谷原正夫 大槻主税

■要約
生体適合性物質科学講座では,材料と生体の相互作用を分子レベルで解析し,その知見に基づき生体に用いる材料,即ち人工臓器や医薬,新治療方法の創成を目指した研究を行っている.特に,生体と情報交換が可能なインテリジェント材料,有機や無機単独では達成できないような機能と特性を持つ有機-無機ハイブリッド材料の研究に力を入れている.一方,1990年代後半に,クローン化技術,ヒトES細胞の樹立,ヒトの全遺伝子配列の解読という,医療を変革する重要な出来事が相次いで起こった.例えば,ES細胞を用いるクローン化技術は,失われた臓器を自分の細胞から創り出す再生治療の道を拓き,ヒトゲノムの解読は,病気の原因の分子レベルでの解明と,各個人に最適なテーラーメード医療を可能にする.このような21世紀の先端医療を実現するためには,新しい機能性生体材料の創成が必要であり,この目的で我々が行っている研究の最近の成果のいくつかを紹介する.


リチウムエノラートの触媒的不斉反応
■著者
物質科学教育センター 物質機能設計領域 古賀憲司 機能物質合成領域 白井隆一

■要約
光学活性体を合成する方法は数多く知られている.それらの中で不斉合成法は,高い化学収率および不斉収率で,多岐にわたるキラルな化合物を光学活性体として与える可能性を有した優れた方法である.とくに,不斉を誘起するための不斉源を触媒量とした触媒的不斉合成法は,今後の光学活性化合物合成法の主流となる方法であろう.しかし,触媒的不斉合成法の現状は,未だ発展途上にあり,この方法を駆使してさまざまな構造のキラルな化合物を光学活性体として自由自在に合成し得るには至っていない.本稿では,リチウムエノラートの触媒的不斉アルキル化反応および不斉プロトン化反応について,我々の検討経過を紹介したい.


薄膜磁性をX線で診る
■著者
物質科学教育センター 物質機能設計領域 橋爪弘雄 奥田浩司、京都大学科学研究科 細糸信好 日本原子力研究所 石松直

■要約
X線磁気散乱が新しい磁性プローブとして注目されている.物質科学教育研究センター物質機能解析評価領域では,世界に先駆けて円偏光X線散乱による薄膜磁気構造解析技術を開発し,3d/4f多層膜の磁気構造相転移,界面磁気ラフネス,交換スプリング磁石の捩れ磁化構造,巨大磁気抵抗膜におけるスペーサー層の磁気分極と間接磁気結合,ナノ磁性体の磁気秩序などを研究している.本稿は共鳴X線磁気散乱の基礎を述べ,我々の研究の一端を紹介する.


フォトクロミック媒体からの非破壊再生法の開発
■著者
物質創成科学研究科 機能物性解析科学講座 柴田賢一


伝導電子の鏡面反射による巨大磁気抵抗効果の増大
■著者
物質創成科学研究科 メゾスコピック物質科学講座 榊間博


磁気的超解像記録媒体の開発
■著者
物質創成科学研究科 知能物質科学講座 高橋明


高圧相窒化ほう素(c-BN)薄膜の低圧気相合成とその応用
■著者
物質創成科学研究科 機能高分子科学講座 池田孔


水の光触媒分解による水素生産
■著者
(財)地球環境産業技術研究機構 環境触媒研究室 豆塚廣章 文、相物質創成科学研究科 環境適応物質学講座 鈴木英二


マイクロ化学・バイオ分析システムの開発
■著者
物質創成科学研究科 感覚機能素子科学講座 吉田多見男 大谷文彦 中西博昭 月森一如


連載
ヴェネツィアンガラスを遡る(2) わが国で発掘された16-17世紀のガラス
■著者
寺井ガラス技術事務所 寺井 良平
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