商品コード:
マテリアル インテグレーション 2000年3月号

マテリアル インテグレーション 2000年3月号

通常価格(税込):
3,300
販売価格(税込):
3,300
ポイント: 0 Pt
関連カテゴリ:
月刊 マテリアル インテグレーション > 2000
マテリアル インテグレーション 2000年3月号
特集 機能性単結晶材料-最近話題の材料と技術の進歩-

総論:電子・デバイスに活躍する機能性単結晶材料
■著者
東北大学 金属材料研究所 福田 承生

■要約
現在,Si,GaAs,水晶,Y3Al5O12(YAG),LiNbO3(LN),LiTaO3(LT)など数々のバルク単結晶がエレクトロニクス,オプトエレクトロニクスの基盤材料として極めて重要な役割をはたしている.それらのデバイスの高集積化,高速化,高性能化が進み単結晶に対する要求も一層厳しくなっている.同時に,最近の急速なデバイス技術の進化にともない,従来の材料だけでは対応が困難にもなってきている.つまり,酸化物やフッ化物などを中心とする新しい機能性単結晶材料の必要性に迫られており,再び新しい機能性単結晶材料の開発研究が活発化してきている.本稿では,日本のバルク単結晶開発の歩み,変遷,そして,単結晶成長技術の展望と注目された技術について述べる.


SAWデバイス用LiNbO3,LiTaO3結晶
■著者
(株)東芝 ディスプレイ、部品材料社 材料部品技術部参与 松村 禎夫

■要約
LiNbO3(ニオブ酸リチウム,lithium niobate:略称LN)およびLiTaO3(タンタル酸リチウム,lithium tantalate:略称LT)は,今日各種電子デバイス用や光デバイス用としてなくてはならない重要な圧電単結晶材料である.特に,テレビやビデオ機器等の映像機器用各種弾性表面波(surface acoustic wave;略称SAW)デバイスに使用する単結晶基板材料として実用化されてすでに20年以上経過している.また,近年急速に市場拡大している移動体通信機器に使用される各種SAWデバイス用基板としても無くてはならない圧電基板材料であり,今後益々需要拡大が見込まれる単結晶材料である.本稿では,最近の市場動向を踏まえながら,これらSAW用LN,LT基板材料の現状と今後の課題・動向について述べる.


移動体通信用ランガサイト系結晶
■著者
京セラ(株) 中央研究所 第1研究部 神山 一司、村上 慎、井上 真司 東北大学 金属材料研究所 島村 清史、 福田 承生

■要約
近年の移動体通信分野の急速な発展と市場の拡大に伴い,弾性表面波(SAW)フィルタの小型化,低消費電力化の要求が高まる中で,温度安定性に優れ大きな電気機械結合係数を有する圧電基板材料が求められている.その中で,化学式A3BC3D2O14で表されるランガサイト系化合物において,優れた圧電特性を有するLGS(La3Ga5SiO14),LNG(La3Nb0.5Ga5.5O14),LTG(La3Ta0.5Ga5.5O14)等の新材料が見い出されている.本稿では,特徴を持つランガサイト系結晶の結晶育成および弾性表面波伝搬特性について紹介する.


リラクサ系圧電単結晶とその応用
■著者
(株)東芝 研究開発センター 給電・材料デバイスラボラトリー 小林 剛史、原田 耕一、山下 洋八

■要約
1940年代のチタン酸バリウムの発見および実用化により始まった圧電材料の応用は1955年のB.Jaffeによるジルコンチタン酸Pb (Zr,Ti) O3(略号としてPZTと表記)セラミックスの発見により大きく進歩し,現在では種々の用途にPZT2成分系セラミックス材料およびこれに少量の添加物を固溶させた3成分系材料がほぼ独占的に用いられている.このPZT以外でこのような特性を示す2成分系圧電材料としてはPb (B′B″) O3の一般式で表されリラクサと総称される材料とチタン酸鉛(PT)との固溶体がある.本稿では最近になり注目されているPZTよりも電気機械結合係数の大きいリラクサ系の圧電単結晶材料の諸特性と応用,開発動向について述べる.


複屈折率制御型非線形光学結晶GbYCOB
■著者
大阪大学 大学院工学研究科 電気工学専攻  吉村 政志、森 勇介、佐々木 孝友

■要約
最近,著者らは新しい非線形光学結晶としてガドリニウム・イットリウム・カルシウム・オキシボレート(CdxY1-xCa4O(BO3)3,GdYCOB)の開発に成功した.この結晶は化学的,機械的に安定で,融液からの高速成長が可能といった特長を持つ.また,複屈折率が制御できるため,Nd:YAGレーザ波長の第3高調波発生(third-harmonic generation; THG,波長:0.355μm)が非臨界位相整合(noncritical phase matching; NCPM)という特殊条件下で可能になる.本稿では,この新しい複屈折率制御型結晶GdYCOBの育成と紫外光発生特性について紹介する.


新しい機能性単結晶材料の開発
■著者
東北大学 金属材料研究所 島村 清史、 吉川 彰、 福田 承生

■要約
著者らは新時代に対応する新しい単結晶材料の開発を進めている.注目すべきは,1960年代に見られた新材料開発とは異なり,新しい機能性単結晶材料の開発を新しい単結晶成長技術開発との有機的融合により推進していることである.優れた性能指数を持ってはいたが,これまで着目されにくかった材料を実用に見合う新しい結晶成長技術の開発により有用な材料としていく,あるいはデバイス側からの要求を満たす新材料を設計し,その高品質単結晶化を新しい成長技術開発により実現していく,という手法をとっている.本稿では,このような観点から検討を進めた結果で得られた新しい結晶材料を,その結晶成長技術と併せて概観する.


光アイソレータ用TiO2と回転子材料
■著者
(株)トーキン ルチル事業推進部 技術課 町田 博

■要約
現在,光通信分野においては,技術革新および新規産業創出などが活発に進行している.伝送技術では高密度WDM (Wavelength Division Multiplexing) で代表されるように,情報密度,伝送速度などの技術開発および実用化がなされている.このような技術実用化の基盤には半導体レーザ励起によるエルビウムドープ光ファイバ増幅器の実用化により情報通信網の光化が実現されたことがある.光アイソレータはその増幅器の必要部品で,その主要部品として偏光子(検光子),回転子がある.ここでは,代表的な偏光子材料であるルチル単結晶,光通信用(1.55,1.31μm)および光信号励起光源(0.98μm)用のアイソレータに用いられる回転子材料であるBi系ガーネット膜,CdMnHgTeバルク結晶について,材料特性および作成方法について紹介する.


放射線検出用単結晶シンチレータ
■著者
湘南工科大学 材料工学科 石井 満

■要約
結晶のX線回折では,試料にX線を照射して回折された微弱なX線をシンチレータによって光に変換し,さらに光電子増倍管で電気的出力に変換して記録している.これが放射線検出器である.放射線の応用には,X線やガンマ線が医療診断装置をはじめその他各種の工業用の密度検出応用装置がある.シンチレータ結晶はその他に原子核反応,素粒子実験,宇宙物理実験などの荷電粒子を含む粒子のエネルギーや位置の検出にも用いられている. シンチレータ結晶はその他の結晶と比較して市場が小さく,事業としての展開が難しい.また,我が国では,世界に比べこの分野の研究者が比較的少ない.ここでは,最近のトピックスを含めてシンチレータ結晶の開発の状況を述べる.


ダイヤモンドの合成と応用
■著者
住友電気工業(株) 伊丹研究所 主任研究員 今井 貴浩

■要約
ダイヤモンドは,地上で最も硬い物質として工業的には主として砥石や切削工具,耐摩工具に用いられてきたが,1980年代初期にメタンガスなどを原料としてダイヤモンド薄膜を気相合成する手法が確立されてからは,電子材料分野での製品開発が活発に進められている. 本稿では,電子材料分野におけるダイヤモンドの応用の現状と,ダイヤモンド単結晶の気相成長技術の最近の進展について述べる.



解説
超短パルスレーザ照射による光とガラスとの相互作用-ガラスからの非線形光学結晶育成-
■著者
京都大学大学院工学研究科 平尾 一之、セントラル硝子(株)化学研究所 三浦 清貴

■要約
近年,広帯域波長可変固体レーザのモード同期技術や超短パルス光増幅技術の発展に伴い,ピークパワーが1010Wもしくはそれ以上の超短パルスレーザの利用が比較的容易になったことで応用のすそ野も拡がってきている.平成6年10月1日にスタートし平成11年9月30日に終了した科学技術庁主管科学技術振興事業団ERATO「平尾誘起構造プロジェクト」では,フェムト秒レーザにより得られる高い光電場に着目し,不規則構造を有するガラス材料を中心に超短パルス光と物質との相互作用により生ずる誘起構造について研究を実施した.本稿では,超短パルスレーザの集光照射により,ガラスの膨張や熱拡散による照射領域外へのエネルギー伝達(損失)速度に比べ,はるかに高速でエネルギーをガラスに閉じ込めることで実現される,超短パルスレーザ励起によるガラスと光との相互作用について,ガラス内部からの非線形光学結晶の育成等の具体例をまじえながら紹介する.


連載
入門:ジルコニアの道(未知)-Part 2-
■著者
ZrO2ファンクラブ

■要約
本稿は,著者がこれまでの研究にもとづいてまとめた,ジルコニアの基礎を連載で解説したものである.対象を専門の技術者より,むしろ営業関係や新人技術者,技術系でもセラミックス外の技術者とし,可能な限り学術文献から逸脱することを留意しまとめている.・どんなところに使われているの?・今後,着色ジルコニアに求められている事(課題),について解説する.


連載特集
セラミックス開発の新兵器:TG-MS [10]TG-MS法によるセラミックス脱バインダの最適条件の検討-アルミナの脱バインダ初期の急激な発熱原因物質の解明-
■著者
理学電機(株) 熱分析事業部 有井 忠、X線研究所 岸 証

■要約
著者らは,脱バインダにおける熱分解プロセスの解明手段として,従来の一定速度(等速)昇温下で測定する示差熱天秤(TG-DTA)法と,重量減少速度を一定に維持するよう自動的に温度制御する速度制御熱天秤CRTG(Controlled-Rate TG)法を利用し,また,それぞれのプロセスで発生するガスを質量分析(MS)にて同時に分析できるTG-DTA-MS法を適用した.特に,アルミナ成形体からの脱バインダ初期に起こる急激な発熱原因物質の解明を取り上げ,その発熱低減方法を提案するとともに,合わせて脱バインダシミュレーションとしての可能性を検討した.
数量:

この商品に対するお客様の声

この商品に対するご感想をぜひお寄せください。