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大学・研究機関イベント情報

【日時】
2015年7月31日(金) 16:00−19:00(15:30開場)

【会場】
京都大学稲盛財団記念館 3階大会議室
地図詳細:構内マップ37番
(http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_m.html)

【タイトル】
「世俗社会のなかのモラル/モラリティ:世俗的論理と宗教的論理の接合と非接合」

【プログラム】

(以下敬称略)
◆ 趣旨説明 神原 ゆうこ(北九州市立大学)
◆ 報告者
藏本 龍介(南山大学)
岡部 真由美(中京大学)
神原 ゆうこ(北九州市立大学)
加藤 敦典(東京大学)

【要旨】
◆趣旨説明
モラル/モラリティという概念は文化人類学において、贈与、コミュニティ内の協力関係、宗教的規範などを包含する概念である。2000年代頃からモラル/モラリティに関する文化人類学的研究が散見されるようになり(e.g. Fassin, Laidlaw, Lembek, Mandel and Humphrey, Zigon)、注目を集めているトピックとはいえるが、研究対象が茫漠であるがゆえに、この概念に関する議論も散漫なものになりがちである。この背景には、宗教的な価値観が世俗化の影響によって変容してきたのと同様に、当該社会に共有されるような規範・道徳としてのモラル/モラリティもまた、現代社会において自明のものとは考えられにくくなっており、この概念自体が変容しつつあるという状況の変化があると考えられる。そこで、本シンポジウムでは、現場において交渉される余地があるものとしてのモラル/モラリティについて、宗教との接点の有無・濃淡に注目した考察を試み、この概念の可能性を考えたい。各報告は宗教人類学者と政治人類学者によって構成されており、両者の境界領域としてのモラル/モラリティについてそれぞれ実験的に考察を試みる。なお、本シンポジウムでは報告1から4にかけて、各フィールドで共有されている論理の比重が宗教的なものから世俗的なものへと推移するように報告を配置している。

◆報告1「モラルを超えたモラル:上座仏教徒社会ミャンマーを事例として」
報告者:藏本 龍介(南山大学)
モースの『贈与論』によれば、「与えろ、受け取れ、返せ」というのが贈与のモラルであり、それが与え手と受け手の双方に利益をもたらす。それに対し上座仏教の出家者は、在家者からの布施(贈与)によって生計を立てているにもかかわらず、返礼が義務とはされていない。それどころか、一部の出家者たちは、返礼を明確に拒絶している。なぜか。この問題について本報告ではミャンマーのX僧院を事例として検討する。その結果明らかにしたいのは、「世俗的な幸福」を目指す贈与のモラルとは対照的な、「仏教的な幸福」を目指すモラル、つまりモラルを超えたモラルの存在である。

◆報告2「タイ-ビルマ国境地域における仏教僧による『開発』とモラリティ:カティナ儀礼復興に関する予備的考察」
報告者:岡部 真由美(中京大学)
近年、宗教者や宗教集団が、国家や国内外NGO/NPOと関係をもちながら、多様な開発実践を展開する動きがグローバルな規模で広がっている。タイでも一部の上座仏教僧が積極的に開発に取り組んできたが、僧侶がいかに社会と関わるかが問われる状況下においてもこうした僧侶が信仰を集めるのはなぜなのか。この問題について、本報告は、タイ-ビルマ国境地域におけるカティナ儀礼復興の事例を検討する。そこで明らかになるのは、僧侶に よる「開発」が、第一に布施のゆくえに可視性や公共性の価値を求める都市住民の信仰を集めていること、第二に儀礼で強調されるモラリティとは裏腹に、ローカルな社会とのあいだに乖離を生み出していること、である。

◆報告3「世俗的な市民社会における社会活動を支えるモラリティ:「市民」的な意思と宗教者の意思の境界」
報告者:神原 ゆうこ(北九州市立大学)
1989年の体制転換した東欧の国のひとつであるスロヴァキアにおいて、体制転換後の「民主主義」的な市民社会建設の実質的に支えたのは、かつての反体制運動家とその支持者による自発的なNGO活動であった。その一方で、社会主義時代は私的領域に留まっていた宗教活動も、体制転換後は自由になり、福祉領域を中心に社会活動を行うようになった。本報告では、社会に関わろうとする人々の意思をある種のモラリティに基づくものとして考え、宗教的な要素を包含して成立している世俗的な市民社会のモラリティについて考察する。

◆報告4「オルタナティブ・ジャスティスの道徳的基盤——ベトナムの村落調停(和解組)の場合」
報告者:加藤 敦典(東京大学)
オルタナティブ・ジャスティスは「裁き」によらない紛争処理(修復的司法、国民和解、裁判外紛争処理制度など)の総称である。近年の世界的な動向をみると、それらの活動の道徳的基盤を宗教団体や宗教的規範が提供しているケースが目立つ。他方、宗教性とは関わりのない「世俗」的道徳を基盤とするオルタナティブ・ジャスティスも数多く存在する。この報告では、ベトナムの村落調停制度を事例に、「生ける法」(末弘嚴太郎)と「通俗道徳」(安丸良夫)の概念を援用しつつ、「世俗」的なオルタナティブ・ジャスティスの道徳的基盤の生成について考察し、そこから宗教をともなうオルタナティブ・ジャスティスの分析にも何らかの示唆を与えることを目指したい。

追記:本シンポジウムは国立民族学博物館共同研究『宗教人類学の再創造:滲出する宗教世界と現代世界』から派生した企画である。

【備考】
*京都人類学研究会は京都を中心とする関西の人類学および関連分野に関心をもつ研究者・大学院生がその研究成果を報告する場です。
*事前の参加予約は必要ありません。どなたでも自由に参加いただけます。
*当日は資料代として200円いただきます。
*講演会後に懇親会を予定しております。

【問い合わせ先】
京都人類学研究会事務局:kyojinken2015[at]gmail.com <http://gmail.com/>
([at]を@に変えて送信してください)

京都人類学研究会2015年度運営委員
*    代表:片岡 樹
*    代表補佐:田中 雅一
* 学生幹事:
一戸恒人、角田彩佑里、金澤大、顧平原、久保田和之、向楠、島田有紗、関口慶太郎、高橋歩唯、張詩雋、Te Monyrotha、長井優希乃、藤井萌子、彭宇潔、山崎暢子、山崎暁、善積実希、

シンポジウムポスター
https://www.dropbox.com/s/01bb69xk10r2a7p/%E4%BA%AC%E4%BA%BA%E7%A0%94%EF%BC%97%E6%9C%88%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E7%AC%AC%E4%BA%8C%E7%A8%BF.png?dl=0

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